GENXYでは何度も紹介している新しいHIV予防法「PrEP」
去年〜今年にかけて使用するゲイ・バイが増えてきた。
今まで興味はあっても、コスト面だったり、安全性だったり、なかなか手が出せない人が多かったが、今年に入り「オンライン診療」といった新しい手段も増えている。
そこで今回は、改めてPrEPを使うメリットや、最新の入手方法についても解説していきたい。
はじめに、PrEP(プレップ)の基本的な情報から。
通常、セックスではコンドームを付けてHIVを予防する。セーファーセックス=コンドームをつけることを意味していた。
しかし、PrEPは全く新しいセーフ手段。
PrEPは、セックスをする”前”に薬を飲むことで、血中に薬を行き渡らせ、HIVをほぼ100%近く予防してくれるというもの。
PrEPは方法の名前なので、実際は「ツルバダ」または「デシコビ」といった薬を飲む(またはそれらのジェネリック薬)。
飲み方は、毎日1錠飲む「デイリー」と、セックスの前後に飲む「オンデマンド」の2つの方法がある。
どちらともWHO(世界保健機関)が認めている正しい服用方法だ。
「デイリー」と「オンデマンド」、使う薬は一緒。飲み方が違うだけだ。
どちらにするかは自分のセックスライフに合わせて選ぼう。
例をあげて紹介。
例)デイリーの場合
「デイリー」は毎日1錠飲むので、月合計30錠飲むことになる。
たとえば、シングルで、週1〜2回以上、アクティブにセックスライフを楽しんでいる人は「デイリー」が適している。
また、ハッテン場や複数などの不特定多数とセックスする場合は、安全性を考えるとPrEPが適している。
例)オンデマンドの場合
オンデマンドでは、1回のセックスあたり4錠使う。(セックス前に2錠、セックス後の2日間で1錠づつ)
もし週1回のペースでセックスをしたとして、月の使用は合計16錠になる。
デイリーに比べて半分の消費量なので、予算を抑えたい場合にも有効。
オンデマンドは計画的に飲む必要があるので、セックス頻度が低い人、セックスの予定をしっかり立てるタイプの人は「オンデマンド」が適している。
上記はあくまでも例なので、参考までに。
もちろん、PrEPはいつ始めても、いつ使用をやめても全く問題ない。
ここでしっかりと、PrEPのメリット・デメリット、その両方を触れておきたい。
■メリット
・HIV予防ができる
■デメリット
・コストがかかる
・安全な入手手段がすくない
・腎臓・肝臓に負担がかかることがある
・HIV以外の性感染症は予防できない
メリットは、ずばり「HIV予防ができること」。ぶっちゃけそれ一点だが、超ーー・・・・強力なメリット!
これまでHIV予防するためにはコンドームを付けるしかなかったが、PrEPの登場によりセーファーセックスの手段が増えたのだ。
逆に、デメリットはいくつもある。
まずはコスト面。正規の薬だと約11万円ほどと超高額!(デイリーで1ヶ月の場合)
ぼったくりレベルの値段に見えるが…PrEPの薬(ツルバダ等)は非常に高価な薬。しかも保険が効かない完全自己負担なので、おそろしく高くなる。非現実的だろう。
正規品ではなく、ジェネリック品の場合は、月5,000〜10,000円ほどと一気に値段が下がる。
しかし海外通販でしか買えないため、使っている薬が安全かどうか、判断しづらいという悩ましい点もある。
副作用としては、薬なので、飲み続けることで腎臓、肝臓に負担がかかることがある。PrEP開始前に、腎臓、肝臓の数値が正常かどうか検査しておいた方が良い。
最後に性感染症の部分。
PrEPだとHIVはほぼ100%防ぐことができる。
しかし、梅毒やA型肝炎など、他の性感染症は防ぐことができない。
対策としては、ワクチンがあるものは打っておく。(A型・B型肝炎、HPVワクチン等)
ワクチンがないもの。たとえば梅毒などは、個人の責任で考えるしかない。
なっても治療すればいいと考えるか、もしくは特定の相手とだけPrEPを使ってするか、などだろう。
PrEPの購入手段は主に3つ。
①クリニックから正規価格で買う
②海外通販で個人輸入する
③クリニックからオンライン診療で買う
クリニックから正規価格で買う場合は月11万ほどかかる。これは現実的に難しいからナシだろう。
海外通販は格安で手に入るが、先ほど伝えたように本物の薬かどうか不明なので、使用は自己責任になる。(専門家によれば基本的に偽薬は少ないのでは?ともいわれている)
上記のように、PrEPを買うときは「値段」をとるか「リスク」をとるかの2択。
しかし、今年にはいって新しく「オンライン診療」という手段が加わったのだ。
3月に開院した、「レインボークリニック」という鹿児島発のクリックがあるが、こちらはLINEを使ったオンライン診療のみで完結するというもの。
オンラインなので通院の必要がなく、プライバシーが守られる点も良い。
PrEPで使用するのは「デシコビ」のジェネリック品。デシコビは副作用の少ない新しい薬だ。
値段は月13,500円(税込)。年間でまとめて買うと費用を抑えることができ、月9,800円でPrEPをすることができる。
同じジェネリックでも、個人輸入で買うものと、医師による処方だと、安全性は言わずもがな。
デイリーで毎日飲んでもいいし、たまにのセックス用(オンデマンド)として持っておくでもよし。
最近は、出会い系アプリにも「on PrEP」(PrEPしている)という表記をする人が増えたように感じる。
じわじわ浸透しているが、買う手段が少ないため、なかなか広がってこなかった。
オンライン診療といった、安全かつ手頃な価格帯でPrEPをはじめることができれば、一気に日本でもPrEPユーザーが増えるかもしれない。