─劇中では「LGBT」について説明するシーンもありますが、ナツキさん的には今のLGBTブームをどう思っていますか?─
今のLGBTブームが一過性で終わらず、同性婚できる所まで持っていけたらいいですよね!
日本って同性愛に寛容だった歴史があって、アングラなカルチャーを大事にするくせに、地下に潜っている分にはいいけど、表面に出てきたらフルボッコにするみたいな、、、笑。
なんでも叩きたい文化がありますよね。同性婚にアンチな人が多くてびっくりしました。
同性婚って、単純に「愛する人がセクシャリティ関係なく一緒にいられる権利」だと思っているので、早く日本でも実現してほしいですね。
─劇中で、「オカマ」「オネェ」について「何て呼ばれたっていいわ、わたしたちはヒューマンよ!」という言葉が印象的でした。差別的な呼称についてどういう意見お持ちですか?─
今は世間的に「オカマ」「ニューハーフ」「オネェ」などの言葉が差別用語みたいに捉えられていますけど、私は全然何て呼ばれようが一切気にしていませんね。
もちろん差別がなくなることが理想なんですけど、根っからの差別意識を持っている人はいるわけであって。
それにいちいち反応して傷付いて、反撃して、揚げ足とってを繰り返すよりは、「わたしはオカマだけど何か文句でも?」っていうぐらいの逞しさがあれば、世の中強く生きていけると私は思っています。
なんでも言葉狩りする今の風潮よりは、当事者たちが明るく笑い飛ばす強さを持ってほしいと思いますね。
─トランスジェンダーを題材にした映画といえば、シリアスな映画が多いですが、本作はとても明るくポジティブな印象を受けました。─
LGBTを描く映画って、基本的にシリアスな作品が多いと思うんですよ。周りからセクシャリティを受け入れられなくて、悩んだ挙句に自殺未遂をして、、などなど。
そうではなくて、本作は観た人が前向きになってほしいと思い作っているので、「新しいLGBT映画」として、是非いろんな人たちに観て欲しいと思っています。
─とても明るいナツキさんですが、そのポジティブの秘訣とは何でしょう?─
私自身悩むことは多かったですが、明るく逞しい母と友達の影響が大きいかもしれないですね。
私が思うのは、LGBT当事者でいることに悲観的になる人が多いように感じます。
例えば、私は見た目は女子でも声が低いので、街中でもトランスって速攻バレるんですよ。
最初の頃は、街で知らない人が自分に対して何か言っているんじゃないかって、萎縮している時期もあったんです。
でも、そのことを母に相談したら、「なにも否定的なこと言ってる人だけじゃなくて、良いこと言ってるかもしれないじゃん?」って言われたんですよね。
あ、そっかー!!って。
私を見て、ヒソヒソ話をしている隣の女子高生が「あの人って元男かな?すごい綺麗だよね~」とか、実は良いこと言ってるかもしれないじゃんて(笑)
今では逆に、街中で自分から話しかけたりしてますよ。その時って概ね反応良かったりするんです。
だから、卑屈にならずに明るく前向きに生きることが大事だと常々思っています。
厚かましいですが、本作を見て、LGBTの方には少しでも前向きになれたらと思うし、ストレートの方には「こういう人も同じように生きてるんだ」って感じるキッカケになれれば嬉しいですね。