実在のトランスジェンダーをテーマにしたLGBT映画『ハイヒール革命!』が、9月17日(土)より劇場公開される。
主演の真境名ナツキは、10代の終わりに男性から女性に生まれ変わったトランスジェンダ
今年7月に開催された「レインボー・リール東京」で先行上映され好評を博した本作の見どころを、主演の真境名ナツキに聞いてみた。
─本作をどんな人たちに見てほしいですか?─
真境名ナツキ:トランスジェンダーである私の半生を描いた映画なので、LGBTの方はもちろんのこと、特に見て欲しいのは、LGBT当事者を抱える親御さんですね。
劇中に登場する私の母は、私を全力でサポートしてくれる心強い存在です。LGBTを抱える親御さんたちが、母を見て何か感じるものがあれば嬉しいですね。
─映画を拝見して、母親の熱いサポートを終始感じました。幼少期に「男だからこうしなさい」など何か言われたことはありますか?─
うちはシングルマザーの家庭で、母と兄と私の3人家族です。
私は幼稚園の頃からサンリオの「キキララ」が大好きだったり、家でオルガンを弾いたり、お人形遊びなど、常に女の子遊びをしていました。ですが、母からは「男の子なんだから、こうしなさい」とは一切言われたことは無かったですね。
むしろ「ナツキはこれが似合うからねぇ~」なんて言って、いつも可愛いものを私に買い与えてくれる偏見のない母でした。
また、兄からも「お前は男なんだから」と言われたのは小さい頃ぐらいで、今では100%受け入れてくれてますね。
私が印象的だったのは、兄が高校の卒業式にきてくれた時に、友達が「ナツキのお兄ちゃんは(ナツキのことを)なんて呼んでんの?」って兄に聞いたんですよね。そしたら「いつも周りには妹って紹介しているよ」って、ごくごく普通に答えていました。
兄なりにすごく私のことを理解してくれてるんだなぁと感じた瞬間ですね。
─家族に恵まれた環境だったんですね─
ありがたいことに、家族や友人にはものすごく恵まれていると思います。
なので、自分とは違う環境にいたトランスの人たちの気持ちが、時々分からない時があるんですよね。
よく言われるのは、「トランスジェンダー同士はみんな気持ちわかるよね」とか「元男なんだから男のツボも、女のツボも押さえてるんでしょ?」とか色々言われますけど、はっきり言ってそんなものはわかりません!!!(笑)
人は十人十色で育った環境なんて全く違うのに、「LGBT」や「トランスジェンダー」として一括りにされてしまうことに違和感を覚えます。
例えば、トランスの友達の家庭環境を聞いていても全然違いますしね。
あるトランスの友達は「親にはトランスジェンダーであることを話しているけど、夜の仕事をしている時だけの単なる『女装』で、いずれ男に戻ると思っている」と。
また別のトランスの友達は「親や兄弟にも内緒で全部手術した」と言ってる子もいるし、同じトランスであっても周りの環境で大きく状況が異なるんですよね。
なので全てが全て「トランスジェンダーだから」と一括りにされても共感できない時があります。
次のページ >> オネェやオカマは差別用語?ナツキが語るLGBT観とは
次のページ|2ページ目