世界的ファッションデザイナーのトム・フォードが『シングルマン』(09)以来、7年ぶりに監督を務めた最新作『ノクターナル・アニマルズ』が、いよいよ来週11月3日(金・祝)より全国公開する。
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公開に先立ち10月24日にトークショー付き特別試写会が行われ、スペシャルゲストとして女装家でタレントのミッツ・マングローブが登場した。
当日はサプライズゲストとして登場したミッツ。
ミッツの登場に、観客からは驚きと歓喜の声が上がった。
映画の主人公スーザンの衣裳をモチーフにした、深緑のロングドレスで登壇したミッツ。映画の感想を聞かれると「ただただ美しかった…」と、ため息まじりに語った。
特に終盤の場面で、エイミー・アダムス演じるスーザンとジェイク・ギレンホール演じるエドワードの男女の駆け引きについて「めちゃくちゃ分かる!色恋ってファンタジーよね」と大きく頷く。
さらに自身の恋愛観も交え「(自分は)悪い男にダマされるのよ。深みにハマるとね、解決するのは時間の問題じゃない」と深々とため息。
監督のトム・フォードについては、「ハリウッド映画にはあまりないようなウェットな演出は、さすがトム・フォード!と思う一方で、トム・フォード自身の中でも、きっと復讐したいと思う相手が頭に浮かんでいたに違いない。じゃなかったらあんな演出出来ないわ!」と力説した。
「復讐」は創作のモチベーションになる!?
女装家・タレントのみならず、ミュージシャンとしても活躍しているミッツ。
自身の創作活動と『ノクターナル・アニマルズ』のキーワードである『復讐』をなぞらえ、「復讐は作品を作るモチベーションになる。(復讐が)なかったら、40年生きてきてそろそろ前に進めなくなってるわよ!!」と会場の笑いを誘った。
「歌手活動の中で、作詞する時にはいつも同じような方向に向かっちゃうのよね。報われなかったことばかりに焦点を当てちゃって、毎度同じことを書いてるってディレクターに怒られる。でも自分の中にはやっぱり大きな感情の歴史として残っていて『(私は)こんなに想っていたのに、あなたは逃げちゃうのね』って思うことがある」
「印象的なシーンで雨に濡れて佇むエドワード(ジェイク・ギレンホール)の姿は、映画が進むにつれてどんどん追いやられる主人公スーザンの脳内の妄想や幻想ともとれる」と、自身の歌手活動と結びつけながら、スーザンとエドワードの過去について明かされるシーンについて言及した。
トム・フォードが創り出す美しい映像美と、愛がもつれた復讐劇の怖さや共感度に頷きっぱなしのミッツ。まだまだ話は尽きないようだったが名残惜しそうに会場を後にした。
ミッツも絶賛する話題作『ノクターナル・アニマルズ』は、11月3日(金/祝)より、TOHOシネマズシャンテほか全国劇場公開される。