映画&海外ドラマ大好きなGENXYスタッフがお届けするコーナー「GENXY映画部」。
まだ今年がスタートしたばかりだけど、早くも今年No.1のラブコメ映画を発見してしまった。
今回は映画『アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング』をレビュー。
突然だけど、みんなこう思ったことはないだろうか?
あの人のようにイケメンだったら・・・あの人のように鼻が高かったら・・・あの人のようにマッチョになれたら・・・あの人のように背が高かったら・・・あの人のようにチンコが大きかったら・・・etc
そう、誰しもが抱える外見のコンプレックス。
それは映画の主人公・レネーも同じ。
ぼてっとした二重アゴの顔に太ったカラダ、自分のすべてに自信が持てない。
そんなレネーは、理想の自分に近づくためにジム通いをするのだが、そこでトレーニング中に頭を強打したことで、それまでの自分ではない「美人に見えてしまう」魔法にかかってしまう。
ただし、魔法にかかったとはいえ外見はそのまま。
本人だけが自身のことを「絶世の美女」と勘違いしているのだ。
しかしその勘違いが人生を一転させる。
化粧品会社の通販部門で働くさえないOLだったが、モデルひしめく本社の花形・受付嬢に大抜擢。
美女と思い込んでいるレネーは今までにないほど自信に満ちあふれ、仕事では饒舌でジョークも言えちゃうほどのキャリアウーマンへと成長し、私生活ではイケメンを逆ナンできちゃうほどに。
当初「こいつ頭大丈夫か…?」と見ていた周りの反応も、すべての物事をポジティブに脳内変換するレニーの姿に感化され、次第に変わっていく。
ちなみに、主人公がおブスなラブコメ映画はこれまでもあったが、大半は主人公がメイクやファッションで美しく変身したり、仕事によって自信が付くストーリーだった。
しかし本作は、”見た目は一切変わらないのに、中身が変わったことで生活が一変する”という、今までにない画期的なストーリーは目から鱗だ。
レネーとは対照的に、劇中には自己肯定感の低い美女が多数登場する。
例えば、レネーが憧れる化粧品会社のCEOは、大富豪で美人オーナーにも関わらず、鼻にかかった高い声のため周囲から尊敬されていないと思っているし、ジムで出会った美女は、男たちに外見だけを見られてバカ扱いされることにコンプレックスを持っている。
周りからは完璧に見える美女たちも、レネーと同じように自分だけのコンプレックスに悩んでいるのだ。果たして「美人であることだけが人生の幸せなのか?」と、観る人へ問いかける。
答えはNO。自信満々なレネーを見ると、どちらが本当に幸せかは一目瞭然。
この世界は周りからどう見られるかではなく、自分がどう見るかで変わる世界なのだから。
これは女子の世界だけではなく、ゲイの世界にもいえること。
ひとたびナイモンやインスタを開けば、イケメン、筋肉、オシャレ、といった完璧に見える男たちの姿が飛び込んでくる。
外見至上主義がはびこるゲイの世界にいれば、「自分は劣っている」「自分はなんでイケメンじゃないんだろう」と、不必要に自分を責めてしまう人も多いはずだ。
本作は、そんな自己肯定感の低いゲイたちにこそぜひ観て欲しい。
映画を観終わると、パッと視界が開ける感覚を味わうことだろう。
そう、頭を打って人生が変わったレネーのようにね。