PrEPのアクセス改善を求めて、HIV支援団体らがPrEPの署名活動を実施中。11月21日に記者会見を行った。
政府へ署名提出を目指しており、現時点で1,000件を超える署名が集まっている。
PrEP(プレップ)は、新しいHIV予防法として注目されているもの。
今年の8月には国で薬事承認され、ますます認知が広がってきた。
HIV支援団体らの調べによると、ゲイ・バイ男性の約10%程度がPrEPの経験があり、今後も増えることが予想される。
一方でネックになるのが「価格」や「正しい情報」だ。
自由診療のクリニックでは月1万〜1.5万程度、個人輸入では5,000円程度の負担となる。
HIV支援団体・ぷれいす東京の生島氏は、「PrEPは保険適用外なので高額になりがちです。クリニックでも価格は頑張ってくれていますが、経済的に難しく手に入らない人も多い。誰もが手にいれられるよう価格を下げる必要があります」と話す。
今回の署名キャンペーンでは、厚労省のほかPrEPを販売する製薬メーカーにも訴えかける予定だ。
PrEPを認可している国の多くが、保険適用などで安価にPrEPを手にいれることができている。例えばこちら。
◾️アメリカ
2012年にPrEPを承認。公的保険/民間保険でもカバーしている。
◾️イギリス
条件により、公的医療サービスによりカバーされる。
条件の例)複数の性的パートナーがいる、過去に性感染症にかかった経験がある、等。
◾️フランス
公的医療保険の対象。医師の処方により無料で手にいれることができる。
◾️ドイツ
医療保険でカバー。医師の処方があればOK。
◾️タイ、フィリピン
地元NGOやUNAIDSなどが高リスク層に無料or低価格で提供。
このように、医療保険でカバーができたり、安価で誰でもアクセスできる仕組みがある。このような制度が日本でも必要だと、HIV支援団体らは訴えている。
会見には、PrEPユーザー・ガブちゃんも参加。
3年前からPrEPを使用しており、「周りの友人からもPrEPについて聞かれることが増えました」と語り、「特に最近は、若い世代にもPrEPの認知度が上がってきています」と、ゲイコミュニティ内のPrEP関心度の高さを紹介した。
一方で、「私は東京に住んでいるのでクリニックも近くにあり、先生も偏見が無く、気軽に性に関する相談ができる状況にいる。これは特権があるなと思います」
「以前地方に住んでいた時は、相談できる場所が少なかった。また、最寄りのクリニックでPrEPについて相談しても、先生がPrEPを知らないということも度々ありました」
そう話すように、PrEPは都市部と地方とで大きな差がありそうだ。
実際、PrEPを導入しているクリニックは全国的に少なく都市部に集中しているため、医療従事者のなかにはPrEPの知識がない人もいる。今回のキャンペーンでは、医療従事者への啓発の役割も大きい。
ガブちゃん「PrEPは自分を守る、そして相手も守れるツールであり選択肢のひとつ。誰もが活用できる、そんな世の中になってほしいです」と、今回のキャンペーンの意義を伝えた。
PrEPの署名キャンペーンはこちらから。