日本人クリエイター、山後勝英氏が手がけたショートフィルム『Sex × Friend ?』がYouTubeにて公開された。
本作は、ゲイ特有ともいえる「セフレとの関係」に焦点を当てた約10分間のショートフィルムとなっており、先日アメリカのLGBT映画祭への出品が決まったばかりの話題作。
今回はこの『Sex × Friend ?』を、いち早くジェンクシーにて紹介したい。
ショートフィルム/あらすじ
どうしようもない孤独感に苛まれ、心が潰れそうな勇斗。彼はいつものようにセックスフレンド、慈雨の元へ行き、心の隙間をセックスで埋めようとする。友達だけどセックスはする。でも、恋人ではない・・・。 (以下、本編動画)
メガホンを撮った山後氏は、TV制作会社で映像プロデューサー/ディレクターとして働く42歳のゲイ男性。
彼は、ジェンクシーにて連載中の「正面×愛とセックス」の出演がキッカケで、本作の制作に至ったそうだ。作品のテーマについてこう話してくれた。
山後「いままで数多くのゲイ映画を見てきましたが、予算の大小はあれ、実は描き方にパターンがあり、似たりよったりの作品が多い。もちろん例外な傑作はありますが。 人の真似はしたくない。それに、どうせ作るなら、誰も描いたことがない、「ゲイのゲイによるゲイのための」映画を撮ろうと思いました」
「(本作は)ひとりきりですべてこなしているので、技術的な欠点は多々あります。プロに見せるのは恥ずかしい限りで、ストーリーも淡々とあっさり終わります。しかし、このゲイ特有の「孤独感」「憂鬱さ」、セックスフレンドとのあっさりした 「微妙な関係」を描いた作品はいまだかつて無いと思います」
「異性愛のクリエイターは、この感覚がわからないだろうし、表現しようという発想にもならない。だからよくある「家族に受け入れられる」、「障害が多い愛を貫く」「隣人を受け入れる」表現に終始してしまいます。だいたい「暗い」「悲劇的」ものが多いですね」
「ゲイを沢山取り上げてもらえるのは嬉しいのですが、リアルなゲイの世界からは少し遠ざかっている。 いまはゲイライフを楽しんでいる人がほとんどだし、クローゼットで悲劇的な暮らしをしている人の方がレアになってきました」
「もちろんまだまだ沢山いるんでしょうけど。 僕はそれよりは「いま」に近い、ゲイが「当たり前」にいる日常で「カミングアウトするかどうかで悩む」段階から次へ進んだ世界観を描くことを目指しました。そういう古い話はもうお腹いっぱいなんで。その中で、ゲイがどういう問題を抱えているか、そしてリアルにどういう関係を築いている人が多いかに焦点を当てました」
彼が語るように、特に都市部では「セクシャリティに煩悶するゲイ」は、少なくなってきているかのように思う。本作は、そんな現代の”リアルなゲイ”を描いた点が画期的だ。
また、本作は米国で開催されるLGBT映画祭「Queer Hippo International LGBT Film Festival(米ヒューストン)」、「My True Colors Festival(米ニューヨーク)」、「Direct Monthly Online Film Festival」に出品予定のほか、今後は国内のLGBT関連映画祭にも出品していくとのこと。
以前、山後氏がインタビュー出演した「正面×愛とセックス」の記事も合わせてチェックしてみてほしい。
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