ドラマがスタートする前、電車や駅などの交通広告に「おっさんずラブ」の広告やポスターが登場し話題になっていた。
私は初めてポスターを見たとき、「どうせ主人公が『おっさんのゲイに告られた~!気持ち悪い!』みたいな描き方なんだろうなぁ…」と、ノンケに告るゲイを茶化すコメディーなのだとばかり思っていた。
ゲイを面白おかしく笑いにするのは日本のドラマの常套手段だからだ。
しかしフタを開けて見ると180度異なっていた!
まず一番驚いたのは、ゲイであることを誰も否定しない世界ということ。
天空不動産の同僚たち、チャラい後輩・マロ、個性的な同僚・まいかさん、春田の幼なじみ・ちず、黒澤部長の元嫁・蝶子まで、誰一人として黒澤と牧がゲイであることに一切嫌悪感を持っていない!
春田が部長に好意を寄せられていることを打ち明けた時もそう、牧と交際宣言をした時もそう、部長と同性婚をしたときもそう、周りの人々は男同士であることに嫌悪感をもつどころか、「え、いいじゃん!」と背中を押すのだ。
これまでのドラマであれば、「え、男同士なの…!?」「…ちょっと気持ち悪い」「ホモ(オカマ)じゃん!」といった悪意の有り無しにかかわらず差別的なリアクションが飛び出すのが一般的だろう。
同性愛を否定せずに、ただあるものとして受け入れる。この描写は日本の連ドラにおいて革新的だ。
これは全員にゲイを認めてほしいと言っているわけではない。ゲイであることを否定しないことが重要なのだ。
「おっさんずラブ」の住人のように、誰もがゲイを否定せずに、ありのままを受け入れてくれる世界であれば、ゲイたちが生きやすいのは言わずもがな。
会社の中、ノンケ友人との中、家族の中でも、カミングアウトしたい時にできる、セクシャリティ関係なく個人を尊重してくれる社会。
おっさんずラブが描いたのは、もしかしたら未来の日本なのかもしれない。