日本政府は今年3月、10年に一度改訂する学習指導要領にLGBTについての教育を盛り込まないことを決めた。つまり、日本の子どもたちが、義務教育の中でLGBTについて学ぶことは今後10年ないということになる。
国際人権団体NGOヒューマン・ライツ・ウォッチは、政府のセクシュアル・ジェンダーマイノリティを教育から排除するこの決定を非難している。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、今回の政府の決定ついて「子どもたちが、LGBTの人々について学び成長するために必要な教育を盛り込む機会を逃した」と述べた。
セクシュアル・ジェンダーマイノリティを教育から排除することを決めた理由について政府は、「社会や保護者がLGBTを取り巻く事柄について受け入れていないため、難しい」と述べた。
一方で、2013年からおよそ2年間に渡り6,000人の教員を対象に行った調査によると、63%〜73%の教員は「LGBTについて教育カリキュラムに盛り込むべき」と考えていることが明らかになっている。
また、宝塚大学の日高庸晴教授が行った調査によると、学校に置いて半数以上のLGBTの人々がいじめの被害に遭っていることもわかっている。その際にいじめの解決に努めた教員は13.6%のみに留まっている。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、「公の意見はさておき、日本の子どもたちには、性教育について、正確で寛容的な教育を受ける権利がある。国連の代表的な機関、例えばユニセフや世界保健機関、ユネスコなどはLGBTを取り込んだ教育カリキュラムを推奨しています。日本の性教育についてのカリキュラムは、これらの基準に大きく遅れをとるものです」
「日本の小学校の体育についてのカリキュラムは、『思春期が訪れると異性に対して惹かれるようになる』と明記しています。中学校においても同様の教育が行われています」と述べた。
今回の学習指導要領についての政府の決断は、2017年における進歩と比較すると、失望に値するといえる。
「性的指向や性自認が人によって異なることは、人としてごく自然なことです。そのことについて日本の生徒が教室で学ぶことができないのはとても残念です」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べている。