Netflixの人気番組「クィア・アイ」のジョナサン・ヴァン・ネスが、HIV陽性であることをカミングアウトした。
ジョナサンは、出版予定の自叙伝『Over the Top』にて、自身がHIV陽性であること、子供の頃に性的暴行を受けたこと、薬物とセックス依存症であったことを明らかにした。
長髪ヒゲのルックスで、いつも明るいオネェ口調のジョナサン。
そんな今の彼からは想像もつかないほど、思春期は苦悩の連続だったという。
ジョナサンはイリノイ州のミシシッピ川沿いの町に生まれた。
一族は地元の新聞やテレビ局を所有する裕福な家庭。
彼は、幼少期に通っていた教会で知り合った年長の少年から性的暴行されたという。そのトラウマからセックスやコカインに溺れるようになった。
飛び級してチアリーディングの奨学金でアリゾナ大に進学したにもかかわらず、薬を買う金をネットで知り合った見知らぬ男性とセックスして得るようになる。
学業は続かず中退。
彼は自分の得意とする領域に足を踏み込むことに決めた。ミネアポリスのアヴェダの美容学校に入り、美容師の免許をとりLAに移住したのだ。
しかしセックスと薬物への依存症はひどくなる一方でリハビリを繰り返したが薬とは縁が切れなかった。
25歳のある日、彼は仕事中、突然サロンで倒れる。
病院で検査を受けた彼はHIV陽性だと告げられた。
その後、周りからのあらゆるサポートを受け薬物中毒から脱する。現在では酒やマリファナはするものの、一切のドラッグから足を洗ったそう。
彼のエンタメのキャリアは、顧客であった『Funny or Die』のプロデューサーにその才能を見出され『Gay of Thrones』に抜擢。
人気を博した彼はクィア・アイのオーディションでメインキャストに選ばれたというわけだ。
ジョナサンはカミングアウトした経緯についてこう語る。
「クィア・アイが始まって難しい問いを自分に投げかけるようになった。このこと(HIV陽性)を話したい?するとこう思ったの。トランプ政権はあらゆる手段でどんどん成長しているLGBTコミュニティにスティグマを植えつけている。」「だから、話さなきゃいけないと思ったの」
そして、自身のことを「誇らしく美しいHIVポジティブ・コミュニティの一員」と話した。
ゲイをカミングアウトする有名人は増えているが、HIVをカミングアウトする人は極端に少ない。
最近だと、ラグビー元英代表のギャレス・トーマス選手、イギリスの政治家ロイド・ラッセル・モイル議員、ユーロビジョンで優勝したドラァグクイーンのコンチータらだ。
HIVには未だに社会的な偏見がつきまとっている。
著名人の勇気あるカミングアウトが、社会の偏見をなくし、HIVと共に生きる人々に大きな希望を与えてくれることだろう。