新しいHIV予防手段として「PrEP(プレップ)」に興味をもつ人が増えているが、日本では認められていないため公式に買うことができない。
日本で手に入れる一般的な手段は「個人輸入」だが、「個人輸入の方法がわからない…」「どれが安心なサイトかわからない…」「英語サイトしかないからハードル高い…」といった声が多いのも事実。
そこで編集部では、安心な海外サイトから個人輸入する方法を詳しく解説。PrEPを始めたい人はぜひともチェックしてみて。
PrEPとは”予防法”の名前で、実際には「ツルバダ」または「デシコビ」という薬を飲む。
しかし2種類ともに大変高価な薬なので、PrEPをしている多くの人はジェネリック品(後発薬)を飲むことになる。
ジェネリック品だと1ヶ月4000円~6000円程度で購入でき、もちろん正規品(先発薬)と予防効果は同じ99〜100%。
PrEPは日本で承認されていないが、国が承認していない薬であっても、海外サイトから購入(個人輸入)することは合法だ。
PrEPを個人輸入する人は「どこから購入すれば安全?」「偽物の薬はないの?」と悩める人が多い。
そこで、英PrEP啓発団体「Prepster」が、2016年にロンドンの性感染症クリニックと連携し、ジェネリック品に偽薬が紛れていないかどうかのモニタリングテスト(TDM)を実施したところ、PrEPを扱う主要6社から偽薬は発見されなかったそうだ。つまり、この6社から購入すればほぼ安全といえる。
日本発送へ対応しているサイトは6社中1〜2社しかなく、今回はその中から安全性と信頼度の高いイギリスのPrEPオンラインサイト「Green Cross Pharmacy」での購入方法を紹介。
英語サイトのため少しハードルは高いが、慣れれば簡単。一つ一つ解説していこう。
ジェネリックは複数メーカーから出ているため、どれを選べばいいか迷ってしまう。
まずは「ツルバダ」なのか「デシコビ」にするかを決めよう。どちらであれ基本的にHIV予防効果は同じ99〜100%なので、値段で選んでも、好きなメーカーで選んでもどちらでもOK。
2020年1月時点で、Green Cross Pharmacyが取り扱っている製品の値段は以下(すべて1ボトル/1ヶ月分)。
■ツルバダのジェネリック
・Mylan社|商品名「Ricovir EM」25.16ドル
・Cipla社|商品名「Tenvir EM」31.67ドル
・Emcure社|商品名「Tavin EM」20.16ドル
・Hetero Healthcare社|商品名「Tenof EM」21.16ドル
■デシコビのジェネリック
・Mylan社|商品名「Taficita」28ドル
・Hetero Healthcare社|商品名「Tafero EM」30ドル
ツルバダもデシコビもあまり値段差がないことが分かる。
次からは、購入方法を順を追って紹介していこう。
まずHPの商品一覧から商品を選ぼう。
今回はデシコビのジェネリック品「Tafero EM」(30ドル)を購入することにした。
注意点として、日本では医薬品を個人輸入する場合は1ヶ月分しか買うことができない。
同サイトでは数個セットで売られているものもあるが、必ず1箱を選択しよう。
商品を見て決めたら「Add to Cart(カートに入れる)」を選択。
次に住所など個人情報の入力をしていこう。
①「Shipping Details」(住所入力)
以下、すべて英語で入力。
・メールアドレス
・名前(例:Taro Tanaka)
・国(Japan)
・郵便番号(例:XXXXXXX)
・都道府県(例:Tokyo)
・市区町村(例:Nakano-ku)
・住所(例:XXX Nakano apartment, X-X-X, Nakano,)
・電話番号(例:+81XXXXXXXXXX)
入力したら「Continue(進む)」をクリック。
②「Delivery Method」(送料)
送料は2つから選択できる。
「ITP Postal」は10.00ドルと安いが14~21日で到着。少し高いけど「EMS Postal」20.00ドルなら10~14日と早めに到着する。好きな方を選択。
入力したら「Continue(進む)」をクリック。
③「Payment」(支払い)
支払い方法についてズラーっと書かれているが、これは後ほど説明するので無視。
「Continue(進む)」をクリック。
④「Review & Place Order」
こちらはサイトのポリシーに同意するかどうかという確認事項。
チェックを付けた後に「Continue(進む)」をクリック。
⑤完了
この画面が出れば注文完了。
ページに出ている「Order No(オーダーナンバー)」と「Total(合計金額)」をメモしよう。
このサイトでは注文完了した後に、別で「決済」する必要がある。
HPのメニューにある「2. PAY(支払い)」をクリック。
支払い方法は、ビットコイン、クレジットカード、EFT(電子決済)の3つから選択できる。
今回は一番簡単なクレジットカードの手順を紹介していこう。
先ほどメモした「Order No(オーダーナンバー)」を記入して、クレジットカードの欄にチェックを付ける。
次にカード情報の入力。
先ほどの「Total(合計金額)」と、クレジットカード情報を入力して決済しよう。
注意点としては、記載する合計金額は米ドル(USD)だが、実際に引き落としされる際は、豪ドル(AUD)になる。なぜかというと、50ドル以下はカード決済ができないため、運営側が自動的に豪ドルに変換してくれるからだ。
ちなみに今回は40ドルだったので米ドルだとカード決済はできないが、豪ドルだと58.12ドル(当日のレート)なので決済することができた。つまり、商品+送料の合計が50米ドル/または50豪ドル以上にすること。
すべて入力した後に「Submit(完了)」をクリックし、支払い終了。
あとは到着を待つのみ!
参考までに、安い送料の「ITP Postal」を選択したら15日ほどで到着した。国際郵便は時間がかかるため気長に待とう。
個人輸入する場合に絶対に守るべきポイントは以下。
① 注文は1ヶ月分まで
日本では、医薬品を個人輸入する場合に1回注文につき1ヶ月分までしか取り寄せられない。
もし1ヶ月分(1本)以上を頼んだら税関で没収されてしまうので注意。
② 必ず「事前検査」と「定期検査」をしよう
PrEPをはじめる際に「HIVに感染していないか」「腎機能に問題ないか」の2つを必ず検査しよう。
HIVに感染した状態でPrEPをはじめてしまうと、不十分な治療によりHIVが薬に耐性ができる可能性があるからだ(薬が効かなくなること。これを「薬剤耐性化」という)。
検査で陰性(感染していない)と分かってからPrEPをスタートすること。
そして、開始後は3ヶ月に1回のHIV定期的検査をしよう。
先ほど説明したように、万が一HIVに感染していた場合、体内でHIVが薬剤耐性化するのを防ぐためだ。
もし自分の判断だけで行うのが不安な人は、東京・上野の「パーソナルヘルスクリニック」または、東京・新宿の「SH外来」の2箇所にて、個人輸入した人のサポートをしている。
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日本でPrEPは認められていないが、個人が自己責任で行う分には問題なし。
ぜひ個人輸入する際は、安心できるサイトで、正しい方法で行ってほしい。
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