年々ゲイたちの間で関心が高まるPrEP(プレップ)。
実は早ければ2024年にも国内承認されるかもしれないとのニュースが入ってきた!
そこで、PrEP動向にくわしいNPO法人「ぷれいす東京」代表の生島さんに話を聞いてみた。
まず前提として「PrEP」とは、セックスをする”前”に薬を飲むことで、血中に薬を行き渡らせ、HIVをほぼ100%近く予防してくれるというもの。
PrEPは方法の名前なので、実際は「ツルバダ」または「デシコビ」といった薬を飲む(またはそれらのジェネリック薬)。
飲み方は、毎日1錠飲む「デイリー」と、セックスの前後に飲む「オンデマンド」の2つの方法があり、どちらともWHO(世界保健機関)が認めている正しい服用方法だ。
日本でPrEPをしている人はどのくらいいるのだろう?
「PrEP in JAPAN」が6,000人以上を対象にした大規模調査によると、2018年は2.2%だったものが、2021年には8.8%と4倍に!
そして今年実施した別の調査によると10%強に増加しており、この勢いは止まらないそうだ。
海外の大都市(オーストラリア、ロンドンなど)では、PrEP利用によって大幅にHIV感染の新規報告数が減ったという報告があるため、この調子でいくと日本でも新規報告の減少におおきく影響しそうだ。
もちろん、PrEPにも問題点はある。
それは「見守りクリニック」が不足している点だ。
PrEPは始める前にHIV検査/B型肝炎の検査をしたのち、HIV陰性とわかってから始めないといけない。そしてPrEP使用中も定期的にクリニックでのHIV検査が必須。
しかし、さきほどの調査によるとPrEPユーザーの半数くらいは定期的な検査をしていないそうだ。
生島さん「PrEPを始める前に検査していない人のなかには、わずかですがHIV陽性の人もいます。PrEPが広まるのは良いことですが、検査などの受け皿となるクリニックが足りていない。環境整備を進めていく必要があると感じますね」
ちなみに、PrEPは国内で承認されてはいない。
承認されてはいないが、個人輸入で使用することは認められている。
現在PrEPをしている人は、自由診療のクリニック、そして国内外サイトから購入している人たちだ。
生島さんいわく、現在ツルバダを使ったPrEPを認めるよう厚労省に申請しており、早ければ来年半ばには承認が下りる可能性が高い。
もし国の承認が下りると──
✔︎ 「副作用被害救済制度」が使える*
✔︎ ツルバダ薬価(薬の値段)が下がると予想される
✔︎ PrEPを扱うクリニック/見守りクリニックが増える
✔︎ 保険適用になる(可能性低い)
「副作用被害救済制度」*とは、承認された薬でもし副作用で被害が出た場合に、救済されるという公的な制度。これにより安心してPrEPを使える人が増える。
ただし、保険適用はハードルが高いそうだ。
「日本では予防薬全般(ピルなど)に対して保険適用は積極的ではない。現時点でPrEPが保険適用になることはハードルが高いかなと思います」
以前まではHIV予防といえばコンドームしかなかったが、PrEPが登場した今、どれを選べばいいのだろうか?
それぞれのメリット/デメリットを比較してみた。
ゲイコミュニティの中で「PrEP vsコンドーム」のように語る人もいるが、それぞれにメリット/デメリットがある。
生島さん「PrEP、コンドーム、どちらか一つを選ぶというよりも、その時々の場面に応じて使い分ける。予防手段を組み合わせるのがいいかと思いますね」
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PrEPの最新動向について、いかがだっただろうか?
おそらく2024年前半には大きな動きがありそうなので、引き続き編集部でウォッチしていきたい。