June 12th, 2018

正面 × 愛とセックス 最終回 ─ 60代 ストレート 飲食業 ─

「あなたにとって、愛とは、セックスとは、何ですか?」

 

本来、人も愛もセックスも多様であり、個人の恋愛を他人がジャッジするものではない。

『正面×愛とセックス』は、”普通に”生きるLGBT当事者の愛とセックスについて、赤裸々に語ってもらうインタビュー連載です。

最終回となるvol.18では、本連載初のストレート男性が登場します。

 

しかし男性は、インタビューの数ヶ月後に事故で急逝しました。今回は、男性の『正面×愛とセックス』をお届けしたあとに、娘さんによる手記、連載を担当した朴成理さんによるあとがきを記載した特別編です。

 

── 60代 ストレート 飲食業 ──

 

 

 

ーあなたにとってセックスとは何ですか


なんなんだろうな深く考えずにしてきましたよね。


ここはバーだから、お客さんともよくそういう話をするんだけども。

男女が二人きりで食事したりデートしたりっていうのは、実際にするしないは別として、男として普通考えるよねって話をしたんですよ。そしたら、そのお客さんがね「何?あなたしたいばっかなの?」って。いや、そうじゃなくて。デートするってことはそういう風になればいいなって、少しは考える訳ですよ。意識しているにしろしていないにしろ、その人と会った時に、何かしら魅力を感じてるんだと思うんですよね。そういうとセックスってなんだろう、1つのゴールじゃないけど、達成感はありますよね。


そんなに経験は多くないですけど一人一人のことを考えて、この人とだったらどういう風にセックスするのかな?って。想像するだけならすごい数ですよね(笑)この人とは恋愛もしてみたいって感じるのと、一度でも構わないなって違いはありますけども。逆にこの人とは嫌だなって思わせる女性の方が少ない。許容範囲も普通の人よりは広いと思います、基本的に人が好きですから。

 

結婚して子供もいて、生殖という意味でのセックスはもう関係はないんですけども、最初若い頃は女性に対して拘りが今より強かったですね。例えば、好きな女性を想ってマスターベーションなんて出来なかったですし。汚してしまうような気がして。でもだんだん歳を取ってくるとそういう部分が鈍くなってくるというか、誰でも良いと言うと語弊がありますが、どんな女性にも興味が湧いてくるようになってきました。性欲が増すというよりも、なんでも経験してみたいというか相手が想ってくれるのであればっていうのもあるし、単純に興味の幅が広くなったのかもしれないですし。


男性って女性に比べると奥手だと思うんですよ。僕は田舎から大学進学と同時に名古屋に出てきて、周りはみんな都会の人って感じでね。同じ歳の女性でもすごくお姉さんに見えました。


それまでは、すごく真面目に付き合ってましたよね、セックスも恋人としかしてはいけないものだと思ってましたし。当然、彼女以外はしなかったですし。なんで22歳で最初の結婚をした時は、結婚したらいつでも出来るんだって思いましたよ(笑)明るいうちからでも、いつでも好きな時に出来るんだって。セックスっていうのは夜に恋人とするものって思い込んでたんでしょうね、こっそりするじゃないですけど。


ですが、他に彼女というか好きな女性ができてしまったんですね。違う魅力のある人で惹かれてしまった。それが原因で離婚してしまったんですけれども。それから、30歳になる前くらいにお店を始めてから、知り合う人の数もぐっと増えてね。女性達にも色々教えてもらったというか。

 

僕なんかは、女性を先に気持ち良くしてからやっとイカせてもらいますじゃないけど、そうじゃないと男はダメだって思ってたんです。でも知り合った女性の中では何回イってもいいわよって人もいたり、すごく積極的で体の相性が良かったなって女性もいたり。言い方は良くないでけど、強引だったり自分勝手だったりとか、そういう男性が好きな人もいれば、積極的に楽しみたいって人もいて、色んな女性がいるんだなって。この歳になってやっとそういうのがわかるようになってきました。


ただ最近よく思うのが、僕なんかの歳になってくるとセックスもそろそろ出来ないであろう状況が近づいてきてるワケじゃないですか。だから、だんだん出来なくなってくるんじゃないかなって、そういう寂しさがあります。ここ12年は特に感じるようになってきましたね。今までみたいに、所謂、ちゃんとしたセックスが出来なくなってくるじゃないですか。そうなってくると、女性に対しても誘っちゃいけないくなるのかなとかね。このままどんどん身体が出来なくなってくると、そういう感情もだんだん希薄になっていくのかなって思ったりもしますね、まだ解らないですけど。

 

渡辺淳一さんの本の中でも、男性機能がダメになって薬も効かなくなってもでもそれだけじゃないんだよって内容の本があったんですけど。でも男として本当にそれでいいの?って、勃たなくなったら男じゃないんじゃないのっていう強迫観念はありますね。それでも良いよって女性は言ってくれるんでしょうけど、そう言われると逆にそれでも良いってなんなんだって思うだろうし、むしろ自分がそれでもいいって思えるんだろうかってね。


ひょっとしたら、自分はまだセックス出来るんだってのがあるから、この人がいいなあの人がいいなって思うのかもしれなですね。

 

順番としては、誰かを好きになるからその人とセックスしたいって気持ちになるんだろうなって思ってましたけど、今この歳になってきて、それって逆なんじゃないのかなって感じる時もあります。でもそれも本当にできなくなった時にしか解らないですけど。もしかしたら、その時は好きの意味が変わってるかもしれませんし、出来なくなったからそれで全てが終わりかって言ったらそうじゃなくて、違う楽しみ方を模索しようとするかもしれません。

僕の経験上、セックスは無いよりあったほうが人生楽しいですよね。気持ちいいですし。それに、肌と肌を合わせるって嬉しいですしでも女性ってそれだけで満足できるんですかね?


きっといつかは出来なくなるわけじゃないですか、体の問題として。

当たり前にあると思っていたものが失くなるかと思うとすごく寂しいです。でも、失くしたら失くしたでまた、違う部分が見えてくるかもしれない。20代後半の頃は30代になるのが怖かったというか、とうとう僕もオジさんになるんだなって焦りがあったんですが、いざ30代になると開き直るじゃないけど、よし!っていう風になっていくじゃないですか。今は性に関してはそういう段階なんじゃないですかね。


出来もしないのに、一生懸命女性を抱こうとしてるのはすごく滑稽かもしれないですけど、それでも気持ちは伝わるかもしれないし、それはそれでいいのかなとも思ったりもしますね。とりあえずは行けるとこまで。使い切るタイプなんですよ、なんでも。モノをすごく大切に使うんです。貧乏性だからダメなんでしょうね(笑)

 

 

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