ーあなたにとって愛とは何ですか

今話してるのと繋がる気がするんだけど。

何だろうね、なんか特定の人とか、モノではないなとは思ってて。

「隣人を愛しなさい」って言葉があると思うんだけど、そういうことなんだろうなって。何に対しても愛を持ってというか…誰それが好きっていうそういうレベルではない、誰に対してもみたいな。特定の誰かを好きでしょうがないってのが、あんまりないからかな、昔から。

愛ってことに関しては片親だからか、何かが欠けてる気がするんだよね。

でも、そこはまだわからない。父親に関しては、自分の中で解決してない問題が多々あるんだけど、愛の受け取り方がわからないっていうか、父親の部分がぽっかり空いてるというか、父親から受けるべき影響の部分とか？でも何が欠けているかはまだわからないんだよね。必ず両親が揃ってて、親戚もちゃんと居てってのが理想や正しい形だとは思ってないけど、そういう環境も体験してみたかったなとは思うよ。

ひとつ面白いのは、親が7歳で離婚してたみたいなんだけど、離婚してたのが知ったのが20歳過ぎで。たまに父親は帰って来てた、何の不思議もなかったんだよね。単身赴任してるんだくらいに思ってて。成人して戸籍みたら、あ！離婚してんじゃん！って（笑）なんで母親は言わなかったんだろうね。

同性からの愛、異性からの愛ってあると思うんだけど、やっぱ両親から貰って完成するもんなんじゃないかって感じてるのもあって、親の影響って大きいじゃん、やっぱ。一番教えてもらうはずの人達だから、良かれ悪かれね。その半分が欠けてるからこんな感じなのかな？って思う事は多々ある。

年上好きなのは、もしかしたら父親の面影を求めてるのかもしれないなとかね、でも一線を引いちゃうんだよね。構えちゃう、年が離れれば離れるほど。年下は楽だよ。自分が構ってあげる方だし、面倒を見る方が好きだし。他人に尽くしてあげたいってのがあるんだと思う。そういうとこも全部含めて、自分にとっては愛だと思ってる。

奪うものでもないし、貰うものでもないし、等価交換でもないと思ってる。それに、自分を犠牲にするものだとも思ってない。気持ちでも、時間でも、モノでも、その人を助けるというか、その人が必要なもので、自分があげられるものならあげるよ、って感じ。一方的でいいと思う。対価を全く求めないわけじゃないけど、返しが無かったとしてもガッカリはしないかな。大袈裟に聞こえるかもしれないけど、誰に対しても愛を持って接しようとは思ってる。常日頃、心がけてはいるけれど…まぁ忘れちゃうこともある（笑）

それは、対人間以外でも心がけてる。変な話だけど、切り花って可哀想だなって、ちょっと思ってんの。会社で花をよく貰うんだけど、なるべく枯れないように大事にしても枯れちゃうからさ。最後に「ありがとう」って声をかけてあげて処分するようにしてる。物を捨てる時も「ありがとう」って声をかけてから捨ててる。

自分が着てた服とか使ってた物とかへの愛着を、愛着をもって捨てるってことだと思うんだよね。そこは、大学時代の先生の影響も大きいかも。その先生は新しい楽器を買った時は、一緒に寝てから使うんだ、って言ってた。それも愛着だよね、愛の一種。

愛のロールモデル？

自分の納得できることを指摘されたり、間違ったことをした時に正してくれるとか。そういう時は愛だなって思うかも。今勤めている会社の社長からが多いんだけど。付き合いも長いし接してる時間も長いから、でもわざわさ受け取ろうとするものだとも思ってない。愛を貰うってことに関してはあんまわかんないんだよね。気にかけてくれてるんだなぁ、とは思うんだけど、それが愛なのかはわからない。愛なのかもしれないけどね。まだ解んないな…迷走中だね、死ぬときまでわかんないかもね。

究極いっちゃうと、構わないでくれ、ってなっちゃうから、愛を持って構わないでくれって（笑）

寂しさはわかんないんだよね、全然。寂しいと思ったことがなくて。

東京に一人で出てきた時も全然なかったし。これからずっと一人だと寂しいかも、とか、そういうのもわかんない。最近、彼氏と別れてそこを再認識したかも。やっぱり一人でも寂しくないんだって。例えば、友達が行方不明とか、死んじゃったりとか、もう会えないんだってなったら、悲しいなって思う。残念な感じというか…でもそれは寂しいとかじゃないんだよね。悲しいけど、悲しいは相手が目の前に居ないってことに対しての感情で。寂しいのは自分の感情でしょ？無いんだよね。そういうもんだ、って受け入れちゃう。

基本的には嫌いな人もいないし。苦手とか付き合いづらいと嫌いって違うから、嫌いってもう拒絶じゃん。拒絶ってないんだよね、その人を嫌いになっちゃたら、その人とは終わりだなって思ってるから。なんでかはわかんない、何かの恐怖かもしれないし。昔は、アイツ嫌いコイツ嫌いってあったんだけど、今は無くなっちゃった。

でも、もし相手から離れていったら、それは仕方ないなって感じ。だから逆に、人との関わり方に執着があるのかもしれない。一人でも生きられるって思っているけれど、一人で生きてきた訳じゃないし、これからもそうだろうってわかってるから。

写真：宮本七生 ／ 聞き手：朴成理

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