2019/10/12

日本でも増えるPrEPのための「見守りクリニック」とは?

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世界中のゲイたちにHIV予防法「PrEP(プレップ)」が広がっている。

日本では認可されていないが、個人輸入によってPrEPを行う人が増えている。

 

PrEP使用はクリニックに通うことがマストだが、日本だと診察を受ける人が3割程とかなり低いそう。これには、PrEP使用者が安心して通える「見守りクリニック」がないことが原因だ。

 

今回は、国内では珍しいPrEPの見守りをしているクリニックがあるということで、編集部が話を聞いた。

 

 

Illustration : MAKITO

PrEPの使用には注意点も多し

PrEP(プレップ)はHIVを事前に防ぐ新しい予防法のこと。

「ツルバダ」という薬を1日1錠飲み続けることで、HIVの感染を約99%防げる。詳しくは以下の記事にて。

 

関連記事|HIV予防法「PrEP(プレップ)」とは?日本一分かりやすく解説

 

手軽にできるPrEPだが、使用にはいくつか注意点がある。

まず、はじめる前に「HIV」「B型肝炎」にかかっていないか検査をする必要がある。

 

PrEPすることで薬剤耐性がついてしまい、すでに「HIV」「B型肝炎」にかかっている人は薬が効かなくなる危険性があるからだ。また薬による副作用を考え、肝臓・腎臓が正常かの検査も必須。

 

そしてPrEP服用後も、3ヶ月に1回はHIVや性病にかかっていないか定期検査をする必要がある。

 

「今の日本はPrEP使用者へのサポート足りていない」

PrEPはHIVに強力な予防法だが、その一方で事前検査&定期検査など、正しく使うことがとても大事。

 

オーストラリアやイギリスなどPrEPが浸透している国では、現地の性病クリニックが一体となりPrEP使用者の見守りをしているが、日本はPrEPが認可されていないため、本人たちが安心して検査に通える場所が少ない。

 

そんな中、今年7月に誕生した東京・上野にある「パーソナルヘルスクリニック」では、日本では数少ないPrEPの見守りができるクリニックだ。

 

塩尻院長は、「今の日本はPrEP使用者へのサポートが足りていない」と話す。

 

 

「パーソナルヘルスクリニック」塩尻院長|国立国際医療センター病院のエイズ治療・研究開発センター(ACC)出身で、HIV/エイズを含めた性病の治療・予防に長年携わるスペシャリスト。

 

PrEPは日本で認可されていないため、医療関係者でさえ正しい知識がないこともある。

 

また、PrEP使用者も個人輸入(自己責任)で使用しているため、事前&定期検査をしない人が多いそうだ。

 

HIV啓発団体・ぷれいす東京がPrEP使用者を対象にしたアンケート調査によると、「定期的な医師の診察を受けているかどうか」の質問では、「全く受けていない」と回答した人は全体の4割強にのぼり、「定期的に受けている」と回答した人はわずか3割だった。

 

また、「検査を受けたいが場所がわからない」といった回答も見られる。

 

PrEP見守りの内容とは?

「PrEPの見守り」は具体的に何を行うのだろうか?

 

塩尻院長「PrEPを始める方向けに、肝機能・腎機能の検査+基本的な性病検査(HIV、B型肝炎、梅毒)を行っています。個別の金額ではなく、全てセットにして初診料6,000円で提供しています」

 

そして、PrEP使用中の3ヶ月に1回の「見守り検査」(5,000円)では、肝機能&腎機能の検査+HIV、梅毒の検査を受けることができる。

 

通常、性病クリニックで性病の検査を受ける場合、複数項目をすると値段が高くなることが多いが、同クリニックではPrEPに必要な項目をセットにした良心的な価格設定だ。

 

PrEPからアナルの性病まで!性病のサポートが厚い

PrEPをする上で注意すべきは「性病」の存在だ。

 

PrEP使用でHIVは防ぐことができるが、当然、ナマでしていると性病にかかるリスクが高まる。

同クリニックでは、性病に関する検査項目が多いのも特徴だ。

 

例えば、性器や咽頭に出来やすい淋菌・クラミジアは、コンドーム無しでセックスをするとアナルにもできる可能性があるため、アナルの淋菌・クラミジアの検査にも対応しているそう。

アナルの性病を調べられるのは、全国的に見ても極めて珍しい!

 

塩尻院長は「アナルの性病は症状こそ危険ではないものの様々なリスクがあります」と話す。

具体的には以下だ。

 

1. 相手へ移す可能性が高い
2. 見た目で気づきにくい(ペニスだと見た目に現れるが、アナルの中だと見えないため)
3. HIVやHPVなど、他の性病の感染率が上がる
4. 何度も性病にかかるとアナルの粘膜が弱くなる

 

PrEPを使用するとHIVとB型肝炎は防げるが、梅毒や淋菌・クラミジア、A型肝炎、HPVなどの性病は防ぎようがない。

 

性病にはワクチンも効果的

性病の中にはワクチンで防げるものもあり、A型肝炎、B型肝炎、HPVはワクチンが有効だ。

 

特にアナルセックスで感染しやすいA型肝炎、B型肝炎はワクチン摂取がオススメ。

個別で打つこともできるし、「A型・B型肝炎混合ワクチン」という一気に受けられるものもある。これは便利!

 

また、あまり聞きなれないHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンは、主に女性の子宮頸がん予防に効果的なワクチンだが、先生は男性でも接種した方がいいと話す。

 

「HPVによって陰茎がん、中咽頭がん、肛門がんになる恐れがあるので、ワクチン接種は男性にもオススメですね」

 

HPVのワクチンは3回打つ必要があるが、効果は一生持続するそう。

 

ワクチンがある性病は事前に防ぐことができるため、セックスにアクティブな人は接種をオススメしたい。

 

***

 

同クリニックは、全国でも数少ない「PrEPの見守りクリック」で、性病やワクチンにも詳しく、ゲイたちの性と健康をトータルでサポートしてくれる。

 

また、穏やかな院長をはじめスタッフもLGBTフレンドリーで、ゲイ・バイ男性やトランスジェンダーも多く通っているそうだ。

 

すでにPrEPを使用している人、もしくは今からはじめる人は、楽しいセックスライフと健康のために「見守りクリニック」を考えてみてはどうだろうか。

 

取材協力:「パーソナルヘルスクリニック」

 

 

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