今年1月、オープンリーゲイの俳優で歌手のジャシー・スモレットが、ホモフォビアに暴行されるというヘイトクライム(差別による憎悪犯罪)が起こったが、なんと本人による”自作自演”疑惑が浮上した。
この事件は、米現地時間1月29日に人気海外ドラマ『Empire 成功の代償』に出演中の俳優ジャシー・スモレット(ゲイを公言している)が、シカゴにある自宅から出て来たところを2人組の男に襲撃され、顔を強く殴るなどの暴行を加えられたうえに、首に縄をかけられて謎の液体を浴びせられたというもの。
その際に犯人2人は「ここはMAGAの国だ!」と捨て台詞を吐いたという。このMAGAとは「Make America Great Again(アメリカを再び偉大にしよう)」という、トランプ大統領のスローガンだ。
このことから、トランプ支持者のゲイ嫌いによるヘイトクライムの犯行といわれ、海外のゲイ雑誌「OUT」「Gay Star News」「Pink News」らが一斉に報じ、LGBTの人権団体「GLAAD」らもスモレットへの支援を表明。
さらにはスーパーモデルのナオミ・キャンベルら著名人からも熱烈なサポートが寄せられていた。
しかし事態は一転。
米シカゴ警察は2月20日、ヘイトクライム被害の虚偽の通報をした罪で、スモレットを訴追したと発表した。
米メディアによると、スモレット容疑者自身がこの襲撃を計画し、襲撃をしたナイジェリア人の兄弟に金銭を支払ったという。
このナイジェリア人の兄弟、オラとアベル・オサンデイロ容疑者は、事件後にアメリカを出国し、先週再入国した際に逮捕された。2人は捜査に協力したことで釈放され、今回の事件の真相が明るみになった。
兄弟のうち1人はスモレット容疑者の個人トレーナーで、2人ともドラマ「Empire 成功の代償」にエキストラとしての出演経験がある。
米CBSシカゴのチャーリー・デ・マー記者は、「『襲撃』の前に物品を購入する兄弟が映った監視カメラ映像を入手した。情報筋によると、スモレットはどれを買うよう兄弟に指示していた」ともツイートしている。
さらに不可解な行動として、スモレットは事件があった週末、予定どおりロサンゼルスでのライブに出演していた。
心身ともに傷を負った状態であれば、ライブ出演は延期するはずだろう。
スモレットはライブ中に「僕は今日、ここに来る必要があった。あいつらに勝たせるわけにはいかないから」と涙ながらに観客に語りかけ、歓声を浴びていた。
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