ゲイやレズビアン特有の声質が原因で、昇進に響くことはあるのだろうか?
「アーカイブス・オブ・セクシュアル・ビヘイビアー」という学術ジャーナルに最近掲載された調査によると、答えはイエスだそうだ。
調査は以下のように行われた。
まず、ストレート、ゲイ、レズビアンの写真と声が用意された。採用されたゲイ、レズビアン、ストレートの声には、それぞれ典型的な声が用いられた。また調査において上記以外の情報は、調査協力者に提供されなかった。
次に調査協力者は、写真と声だけを頼りに、それぞれの人物について「CEOに相応しいか?」「適切な給料はいくらか?」など職場における資質を評価するよう求められた。
結果、「ストレートっぽい声」は「男らしい」ため、より高い役職と給料が適切だと調査協力者によって判断された。一方で、レズビアンは、「女性らしさが欠けている」と判断され、ストレート女性よりもかなり低い評価を得た。
この結果についてファソリ博士は、このように述べる。
「これらの結果は、声質がステレオタイプを生み、ゲイやレズビアンの声質を持つ人々の能力を否定することを証明している。多くの企業がLGBTに対する差別をなくそうとしているにも関わらず、人は無意識のうちに他者をカテゴライズしてしまっている。今回の調査は、そのようなカテゴリー化は職場環境や人のキャリアに大きな問題になることを示唆している」
ファソリ博士の研究結果に限界があるとしたら、それは、「調査がイタリアで行われたこと」だ。つまり、ステレオタイプとされる事柄が、イタリア特有の事柄かもしれないため、調査結果が他の文化圏ではそっくりそのまま当てはまらない可能性がある。
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NBC OUTによる「Do I Sound Gay?(僕の声ってゲイっぽい?)」を製作したデイビッド・ソープ監督へのインタビューによると、ソープ監督は「ファソリ博士の調査がアメリカで行われたら、似たような結果になるかもしれない」と述べているそうだ。
「もちろん、実際のインタビューだったら生身の人間とのやりとりになるわけだから、写真と声以上の様々な要素が目に入るけどね。だから、実際の面接を調査した時に、結果が同じになるかは分からないね」
何れにしても、ソープ監督は調査について「人が声についてストレオタイプを持っていることを証明した重要な調査だ」と考えているそうだ。