最近話題の映画を、映画大好きジェンクシー編集部が紹介するコーナー。
今回は、5月26日より新宿K’s cinemaほか、全国公開中の映画『ガチ星』を紹介したい。
『ガチ星』は、世界的な広告賞「カンヌ国際広告祭」で3年連続受賞を果たした江口カンの長編映画デビュー作品。
舞台は北九州の小倉。
主人公・濱島浩司、39歳は、プロ野球選手として活躍していたものの戦力外通告を受けてしまい自堕落した生活を送る日々。
ギャンブル酒タバコにどっぷり浸かり、世話になった友人の彼女と寝たり、一人息子との約束さえすっぽかす。終いには周りに金をせびる最低最悪な主人公だ。
そんなアラフォー男が、「40歳以上でも入学できる」と聞いた競輪学校に入学。
教官からの猛烈なしごきや20歳以上も年の離れた若者からのいじめを耐え抜き、競輪選手として第二の人生をスタートするというストーリーだ。
ストーリーだけを聞くと、汗臭いだけのスポ根映画に見えて、ゲイたちに縁がないように思えるが実際は共感できる部分が多々ある。
映画を観てもらうと分かるのだが、誰がどうみても救いのないダメダメな主人公。
ギャンブル、酒、女に溺れ、目標もやる気も1mmもない、完全なるダメ人間。
底辺中の底辺の生活を送る主人公にも、競輪を通して少しづつ変化を訪れ、最後は「こんな男でも再生できるんだ…!」と感嘆してしまう。
また、主人公のライバルとして登場する久松は、エリートながら大失敗を起こし落ちぶれるのだが、そこから主人公とは違った再生ストーリーが見られるのも面白い。
映画を通して、中年でもチャレンジできること、一文無しからでも人生をやり直せることなど、人生における教訓が詰まっている。
役者陣の演技も大きな魅力の一つ。
主人公・濱島を演じた安倍賢一は、本人もオーディションに落ちまくった崖っぷち役者であり、なんと過去に競輪選手を目指していたという、まさにハマり役!
そのため役にリアリティがあり、鬼気迫る演技は見逃せない。
ゲイ的なエッセンスとしては、競輪学校ではみな丸坊主+上裸でトレーニングに励むシーンがあるのだが、体育会◯◯モノをみているような胸熱シーンなので、こちらもぜひ目に焼き付けてほしい(最低ですんません。。)
人生に通じるテーマから、男たちの熱いシーン満載の映画。
単なるスポ根モノだろうと見逃さずに、ぜひ劇場に足を運んでみて。