カリフォルニア大学リバーサイド校の女性学の准教授であるジェーン・ワード教授は「ストレートと名乗っているにも関わらず、同性と性的な行動を行う、一見矛盾しているように見える人たち」について研究を行っている。
「女性がレズビアン的な行為に及ぶ時、人々はそれを注意を引く行為と見る、もしくは女性としてのセクシャリティの流動性を探求していると捉えます」
「しかし、人々は男性に対してはそのような寛容さを持ち合わせていません。男性が同性の相手と行為に及ぶのは、例えば潜水艦や刑務所にいる時など、彼らがどうしても同性と行為に及ぶ必要がある時、もしくはゲイだけれどもバレたくない場合に限られるでしょう」
「本来、男性同士の性的な行為は”普通”の行為であるが、社会はそのような行為に対して説明を求めずにはいられません」
「「女性のセクシャリティは受け身で、流動的で、外部の刺激によって触発される。女性は周りのどんなものでも性的に刺激される」と信じてしまうと、それはただ我々が女性について信じたい考えを強化してしまうだけになってしまいます」
「つまり「女性は性的にすべての人のものである」という考え方が強化されてしまうということです。一方で「男性は子孫を残すために異性愛でありたいという強い欲求を持っている」という考えや「男性のセクシャリティは流動的でない」という考え方は、異性愛前提の社会、もっと率直に言ってしまえば、家長制度を強化することになるのです」
大学のフラタニティ(男性社交クラブ)や軍隊、刑務所において男性同士が自分自身を”そそのかして”行為に及ぶこと自体が、ストレート男性のセクシャリティの流動性の表れだとジェーン教授は言う。
「ストレート男性は、同性同士の性的な行為が「無意味、偶然、もしくは必要不可欠である」と信じることによって、異性愛的な方法で同性同士の性的な行為を行うことができるのです」
ジェーン教授の理論に基づくならば、性別に付随する固定観念は、人の性的な経験の幅に大きな影響を与えてしまっているのかもしれない。