HIV陽性者の男性は、自死により命を落とす可能性が2倍高いことが調査により明らかとなった。
この衝撃的な調査結果は、2017年4月に英国HIV協会主催による会議にて英国公衆衛生サービスのサラ・クロックスフォードが発表した。
調査結果は、英国及びウェールズに在住する9万人のHIV陽性者を15年間に渡って調査し得たものだという。
調査結果は、HIV陽性者の58%が、HIVが原因となる病気に罹り死に至っていることを明らかにした。また、HIV陽性者の自死率は2%で、これは一般の2倍に相当するそうだ。
調査によるとHIV陽性者の自死は、多くの場合、HIV感染発覚の最初の年に起きるという。自死に至ってしまうHIV陽性者の実に40%が、HIV感染発覚の最初の年に自死してしまうそうだ。HIV感染が発覚したばかりのHIV陽性者の自死率は、一般の5倍に相当するそうだ。
HIV感染発覚の最初の年に自死が多い理由として、研究員は、「HIV感染によるスティグマ」「診断を受け入れることの難しさ」「メンタルヘルスケアサービスや自死防止サービスの不足」を挙げている。
英国公衆衛生サービスのサラ・クロックスフォードは、「我々の調査結果は、HIVに関するスティグマを減らすこと、精神的な支援を行うサービスの充実がいかに重要であるかを示している」と述べる。
また、英国HIV協会主催による会議に出席したHIVやAIDSに関する情報サイトAidsmapの執行役員であるマシュー・ホドソンは、調査結果について「HIVの効果的な治療は20年以上に渡って行われてきているのだから、HIV感染が原因で人が死ぬのは悲しいことだ。調査結果は、感染発覚の遅れが感染による死を許してしまっていること、またスティグマを減らすために多くのことができることを示している。HIVへのスティグマを減らし、性感染症の検査や治療を受けやすくする環境整備が大切だ」と述べている。
調査によると、HIV陽性者の致死率は一般のおよそ6倍であるという。死因の58%は上述の、HIVが原因となる病気の感染で、死者の多くは、感染発覚が遅れたり、半数以上はHIVの治療を受けていなかったりするそうだ。
HIVに感染しても、早期発見をし治療に専念すれば、マシューの言うとおり感染によって寿命が縮むことはないし、他人にうつることもない。よって定期的な性感染症検査が大切なのだろう。
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