エイズ研究について、アメリカで画期的な調査結果が発表された。
米国立衛生研究所(NIH)は、同研究所とハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、仏製薬会社サノフィらが共同研究に取り組んできた、新しいHIV抗体の開発に成功したと発表した。
NIHの発表によると、サルを使った実験にて、開発された抗体がHIVの駆除&感染予防効果が99%の結果を得られたことがわかった。
新発表された抗体とはどんなもの?
まず「抗体」とは、本来人間が持っているカラダの防御機能のこと。
この抗体は、HIVに感染すると体内に侵入してきたウイルスに対抗するために作られるため、HIV検査では、血中の抗体の有無でHIV感染を判定している。
これまでのエイズ/HIVの研究は、このカラダを守ってくれる「抗体」を使って、HIVを攻撃・駆除しようというもので、世界中の研究機関で開発が行われている。
しかしながら、HIVは約200種類以上の株を持っている非常に複雑なウイルスであることから、その全ての株に聞く抗体の開発が非常に難航していた。
今回研究チームは、複数の異なるHIV株を認識できる「二重特異性抗体」「三重特異性抗体」と呼ばれる特別な抗体を発見し、「VRC01」「PGDM1400」「10E8v4」という3つの抗体の組み合わせが最もHIVに効果的であることを発見。
さらに、3つの抗体を遺伝子組換え技術によって合体させ、まったく新しい抗体の開発に成功したという。
実験では、24匹のサルに「VRC01」「PGDM1400」「10E8v4」「今回の新抗体」の4のグループに分けて調査を行なったところ、新抗体のグループのみHIVが完全に駆除されていることが確認されたのだ。
なんと、99%のHIV株を駆除できるという驚異的な結果に!
研究チームによると、早ければ2018年には人への臨床試験を開始する予定となっている。
この画期的な研究結果に、国際エイズ学会(IAS)は「エイズ治療に革新的な進歩が起きた!」と声明を出している。
もしかしたらあと数年で、完全なHIV治療薬が誕生するかもしれない。今後の研究に大いに期待したい!