アメリカで最近行われた調査によると、50代以上のレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル(LGB)の人々は、ストレートに比べて、慢性的な健康被害のリスクがより高いことが明らかとなった。
特に、心血管疾患や免疫力の低下、腰と首の痛みが目立つという。
また、喫煙や過度の飲酒といった、健康を脅かしかねない行為がレズビアン・ゲイ・バイセクシュアルの人たちに顕著に見受けられることも明らかとなった。
一方で、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアルの人々の多くは、HIV検査や血圧検査を定期的に受け、健康被害を予防していることもわかった。
今回の調査は、50代以上のレズビアン・ゲイ・バイセクシュアルとストレートの約30,000人の健康についての2つの調査結果を研究するという形式で行われた。
調査の基となったのは、アメリカ疾病予防管理センターが行なった調査とワシントン大学が行なった調査だった。
ワシントン大学カレン・フレドリクセン=ゴールドセン教授は「レズビアン・ゲイ・バイセクシュアルの人々の健康被害のリスクが高いのは、セクシュアルマイノリティが受ける差別のため」だと、50歳から100歳までの2,450人のLGBTを生活環境や精神面などあらゆる面から調査した経験などを踏まえて答えた。
ワシントン大学によって実施された研究によると、50代以上でLGBTと自認するアメリカ人は現在2.7百万人おり、2060年にはその数は5百万人に達すると言われている。
今回の調査によって明らかとなったその他の事柄は以下の通りだ。
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①バイセクシュアルの人々に比べて、レズビアンとゲイに障害を持っていたり、精神的苦痛を抱えていたりする割合が高い。
②脳卒中・心臓発作・喘息・関節炎・腰と首の痛みを経験するレズビアン・バイセクシュアル女性の割合がストレート女性の割合よりも大きい。
例として、40%のストレート女性が腰と首の痛みを訴える一方で、レズビアンとバイセクシュアル女性の割合は53%に上る。また、7%のゲイ・バイセクシュアル男性が心臓病による胸の痛みを抱えている。ストレート男性の割合は、8%に留まった。
③レズビアン・ゲイ・バイセクシュアルの人々のうち、17%の女性と15%の男性に免疫力の低下が見られた。
ストレート女性の場合は10%、ストレート男性の場合は5%のみであった。
④レズビアンとバイセクシュアル女性はストレートの女性に比べて過度の飲酒により健康を損なってしまうリスクが2倍に高まる。
⑤ 4分の3のゲイとバイセクシュアル男性、そしておよそ半数のレズビアンとバイセクシュアル女性が過去にHIV検査を受けたことがあるという。
一方で、ストレートの人々が検査を受けたことのある割合は、4分の1となった。
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ゴールドセン教授は今回の調査について「セクシュアルマイノリティの健康についての包括的な調査だ」と調査内容を肯定する一方で、「レズビアンやバイセクシュアル女性の健康問題をさらに可視化していく必要がある」と今後の課題も指摘した。