電通ダイバーシティ・ラボから、国内のLGBT割合が8.9%といった最新調査が発表された。
同調査は、全国20~59歳の60,000名を対象に2018年10月に実施。
結果は、LGBT層(LGBT以外のセクシュアルマイノリティも含む)に該当する人は8.9%となった。
同ラボでは3年ごとに定例調査を行なっており、LGBT割合は2012年調査は5.2%、2015年調査は7.6%。最新版となる2018年調査では8.9%となり、年々増加していることがわかった。
なぜ2012年と比べて3.7ポイントも増加したのだろうか?
調査リリースによれば、「LGBTに関する情報の増加による一般理解の進展、LGBTへの理解が深い若年層のアンケート対象構成比の増加にあると推測」とある。
この推測は大いにあり得るだろう。
2015年、日本で初めてパートナーシップ条例ができた東京・渋谷区を皮切りに、社会に「LGBT」「同性婚」という言葉が知れ渡った。
またそれまで、ハリウッドを除き、国内の映画やTVドラマでLGBTが描かれることはほとんどなかったが、昨今はゲイ(LGBT)テーマのドラマが軒並み大ヒットしている。
2018年の1年間だけでも『おっさんずラブ』『隣の家族は青く見える』『弟の夫』『女子的生活』が放送され、SNSを中心に大きく話題になった。
TVやネットなどのメディアの影響やドラマや映画などのエンタメ業界から、自治体や企業の同性パートナーに向けた取り組みなど、社会のありとあらゆるところでLGBTが登場することで、大きな認知と理解をうながしていると言える。
「同性婚の合法化」について聞いた質問では、全体の約8割(78.4%)が賛成と回答した。
賛成割合は男性(69.2%)よりも女性(87.9%)の方が圧倒的に多かった。さらに、若年層の方が賛成率が高い傾向にあることもわかっている。
全体の8割が同性婚賛成というのは、諸外国の同様の調査と比べても非常に高い結果だ。
また、ストレート男女に対して「LGBT の人に不快な思いをさせないために、あなたは LGBT について正しく理解をしたいと思いますか」と聞いた質問では、約8割が「正しい理解をしたい」と回答している。
LGBT割合の話題に戻ると、日本だけ8.9%と高い割合なのだろうか?
LGBT割合については、国や調査機関によってバラつきがあり、平均すると5%~10%前後といわれている。
参考までに、米サンフランシスコのLGBT割合は6.2%(2014年調査)、カナダは人口の13%がLGBTと自認(2017年調査)、またイギリスでは若年層の54%が同性愛者 or バイセクシュアルと認識しているという調査データもあるほど。
よって今回の8.9%という数値は、あながち間違いではなさそうだ。
そしてこれらの調査データは数字だけ見ると「年々LGBTが増えている」と思いがちだが、もちろんそうではない。
社会にLGBTの認知が広まったことで「自身のセクシュアリティやジェンダーに気付く人が増えた」ということだろう。
その他の結果については、電通ダイバーシティ・ラボのサイトに公開されている。