世界No.1のゲイアプリ「グラインダー(Grindr)」が運営するゲイメディア「INTO(イントゥー)」が実質的な閉鎖を発表した。
これはグラインダーCEOの「結婚は男女間の神聖なもの」とした、同性婚非難ともとれる発言が影響している。
1月15日、グラインダーは自社メディア「INTO」の編集スタッフ全員を解雇し、実質的なサイト閉鎖を発表した。
グラインダーによれば、同社が力を入れている動画へ注力するためとしているが、元スタッフによれば動画チームも全員解雇されたという。
「INTO」は、グランダーが運営するゲイの為のネットメディア。
ゲイ、LGBTQ当事者の権利&ライフスタイル向上をはかるべくスタートし、世界中のニュース、ゲイ的ライフスタイル、良質なインタビュー、動画コンテンツを配信していた。しかし、ローンチからわずか1年半で閉鎖してしまう。
これにはCEOの同性婚に対する発言がキッカケとみられている。
2009年にアメリカで誕生したグラインダーは、2017年に中国企業「Kunlun Tech」に買収されており、現在はスコット・チェン氏が代表をつとめている。
チェン氏は、自身のフェイスブックでこう発言した。
「ある人は、結婚とは男性と女性の聖なるものだと考えています。それは私も同じです。ある人は、結婚の目的とは自分のDNAで子供を産み育てることだと考えています」
「つまり、あなたの意見は他の人と同じではなく、結婚にはそれぞれが望む理由があります」
スコット・チェン
これは昨年11月の「台湾の同性婚における国民投票」の際に、アンチ同性婚団体に寄付した台湾企業を批判する目的で投稿したもの。
詳しくはこちら >> グラインダー社長の「結婚は男女のもの」発言に非難殺到
本人はアンチを非難したつもりだが、思わず「結婚とは男性と女性が行う聖なるもの」と本音を漏らしていることから、同性婚に対して否定的な意見を持っていることがわかる。ちなみにチェン氏はストレート男性。
現在、この投稿は削除されている。
グラインダーという、世界最大のゲイサービスを運営する会社のCEOが、同性婚に否定的な価値観を持っていることは衝撃的だろう。
この発言を受け、海外有力メディア「OUT」「Gay Star News」「Queerty」らゲイメディアは一斉に非難。
ゲイメディアだけでなく、SNS上でも「みんなでグラインダーをボイコットしよう!」「グランダーじゃなくてスクラフ(米ゲイアプリ)に移ろう!」といったように、グラインダーのアプリを削除しようという動きが活発になった。
そんな同社への非難は、ゲイ権利を向上するべく運営している「INTO」にも集中。
そして騒動からわずか6週間で、「INTO」は閉鎖に追い込まれたという流れだ。
グラインダーといえば、スマートフォンのGPS機能を使った世界で初めてのゲイ出会い系アプリ。
近年、日本ではシェアを落としているが、北米やヨーロッパ、日本以外の他アジア圏では圧倒的シェアを誇っており、現在のユーザー数は世界196ヵ国で2億7千万人(2017年時点)。
ちなみに日本発のゲイアプリ「ナインモンスターズ」のユーザー数は約45万人なので、グラインダーの規模が他のゲイアプリと桁違いなのかがわかる。
しかし、最近ではCEOの発言を含め、ユーザー情報がリークするなどの不祥事が相次いでいることから、評判が著しく低下。今後は大幅なユーザー離れが起こることが予想されている。