企業利益を削ってまで、ゲイコミュニティのHIV/エイズ減少をサポートする素晴らしい寄付だが、一方でその方法を疑問視する声も上がっている。
やや懐疑的なのは、米マサチューセッツ州のワレンスキー医師。
「素晴らしい努力だ」と語りつつも、「PrEPを必要とする人の20%程度しかカバーできない」とも付け加えた。
同氏は、ツルバダの製造コストは年間たった60ドル(約6600円)であると指摘し、「本当に(PrEPを使う)全員をカバーしたいのであれば、(無償提供よりも)誰にでも値下げするべき」と話した。
さらにワレンスキー医師は「この寄付には裏があるのでは」と、率直な意見を語った。
ギリアドでは、ツルバダを改良した新薬「ディスコビー(Descovy)」の発売を予定している。
同氏は、この新薬を販売するための裏口工作なのでは?とも話した。ツルバダが世に広がることで、更に改良された新HIV予防薬「ディスコビー」が売れるからだ。
ちなみにギリアドは、ツルバダ販売だけで年間30億ドル以上(約3300億円)を稼いでいる。
アメリカでツルバダが認可された2012年から現在に至るまで、莫大な利益を得たに違いない。
この巨額の利益に対して、米国司法省は7人の上院議員を送り込み、ギリアド内部の調査を行ったそうだ。
今回の寄付が上記の調査の結果であるかは不明だが、少なくとも影響を及ぼしているとみられている。
様々な思惑が入り混じる今回の寄付だが、年間20万本もの無料配布により、米ゲイコミュニティ内のHIV/エイズが大幅に減少することは間違いないだろう。
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