イスラエルのテルアビブに住んでいます、がぅちゃんです。
ゲイフレンドリーな地中海リゾートのテルアビブにおけるアートとナイトライフのメッカ「フロレンティン」は、アニメ「ドロヘドロ*」の異次元な世界観にも似た独特の雰囲気。そんなフロレンティンのゲイバー「DTM」 を、地域の見所とともに紹介します。
イスラエルは中東地域の地中海沿岸にある国です。縦に細長い地形なので西側がすべて地中海に面しており、西部の都市は「海の街」といった雰囲気。 中でも最も人気なのがテルアビブで、 国内最大の経済都市であり、ゲイフレンドリーな都市としても知られています。
「フロレンティン/Florentin」は、現在のテルアビブで、アートとナイトライフのメッカと考えられている場所です。しかし1929年の開拓以降は、しばらく貧困地域でした。家賃が安いので若者が住み着き、自由奔放でボヘミアンな印象が定着していった歴史があります。
地名は開拓者のイタリア系ユダヤ系ギリシャ人「Solomon Florentin」に由来します。彼はギリシャのテッサロニキ出身で、イタリアの家系。「フロレンティン/Florentin」という名前は、イタリアの「フィレンツェ/Florence」にルーツがあると言われています。
テルアビブのフロレンティンは、巡り巡って、「イスラエルのフィレンツェ」とか呼んでも良いのかもしれません(ただしそうなってくると意味が完全に変わってしまいますが)。フロレンティンの見どころをいくつか紹介します。
ミューラルアートの聖地
フロレンティンはイスラエル国内で最高峰のミューラルアート(グラフィティ)が集結する場所としても知られています。なかでも、イスラエル人アーティスト「Kis-Lev」の「The Peace Kids」 が特に有名です。
「The Peace Kids」 は、イスラエルの有名キャラクター「スルリック(左)」とパレスチナの有名キャラクター「ハンダラ(右)」が肩を組むデザインで、イスラエルとパレスチナの和平を表現していると言われています。
余談ですが、歌手のマドンナが、2019年にテルアビブで開催された「ユーロビジョン/Eurovision Song Contest」でパフォーマンスして物議を呼んだ表現が「The Peace Kids」のオマージュでは?という(あくまでも)噂が存在します。
ラジオ局兼クラブ兼ピザ屋「TEDER.FM.」
小学校のような廃墟のような団地のような建物の中に、ラジオ局やクラブやピザ屋が展開している、雑多で混沌とした場所です。「TEDER.FM.」 は本来、ラジオ局とピザ屋の名前です。しかしややこしいので、それらを含む建物自体が「TEDER.FM.」と呼ばれています。
「TEDER.FM.」は、行政区間上はフロレンティンには含まれません(区間を分かつDerech Jaffa通りの反対側にある)。しかし雰囲気は完全にフロレンティンのそれなので、テルアビブでは「フロレンティンの名所」としてカウントされています。
いつも大人をワクワクさせるフロレンティンで、2019年にオープンしたのが「DTM」。「Don’t Tell Mom/ママには言うな」の略だそう。「ゲイのゲイバー」といった雰囲気で、お行儀のよいテルアビブの老舗ゲイバー「シュパガット」とは路線が違う様子。
1階の様子
空間の中央にバーカウンターが設置されており、客はそれを囲むようにしてくつろぐスタイルのお店です。店内の壁にもミューラルアートがびっしり。
2階の様子
2階にはトイレと喫煙ルームがあります。喫煙ルームの前の廊下から、一階部分を眺めながら飲めます。
「DTM」のメニュー
英語とヘブライ語の表記が選べます。お酒は各種一式揃っています。オリジナルカクテルはやんちゃな遊び心が効いたネーミングで 「420」や「Tina」などあります。
「420」はマリファナを意味します。イスラエルは大麻先進国ですが、公共の場での娯楽目的のマリファナの所持・使用は犯罪*です。よって「DTM」ではマリファナは販売されていませんし、非合法な活動も行われていません。健全で合法なゲイバーです。
ちなみに、「コロナ禍における公共の場でのマスク非着用」の罰金が500シェケルなので、金額だけ見れば「マリファナ使用」は「マスクを2回つけ忘れた時」と同等のペナルティ。現状では、マリファナの使用を犯罪と考えにくい実態があります。
そういった環境なので、公共の場でマリファナを吸っている人はたまにいます。テルアビブでそういった光景を目にしても、それイコール危険な地域という意味ではないので、特別に警戒する必要はないと言えます。(テルアビブの治安は東京より良いです)
駄目押しの余談ですが、「カンナビス研究の父」として大麻業界で神格化される「ラファエル・メコーラム博士/Raphael Mechoulam」はエルサレム在住のイスラエル人です。大麻が含有する成分「テトラヒドロカンナビノール/THC」を分離したことで知られています。
博士が暮らすエルサレムの市長「モシェ・リオン」が奇しくもテルアビブのフロレンティン出身で彼の父方の家系がこれまたギリシャのテッサロニキ出身で……と、このままいくと文章が道草食べ放題な予感なので、このあたりでカットさせていただこうと思っています。