2026/10/13

台湾での忘れられないLGBTプライド。10年かけて各都市で歩いたパレードの記憶

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こんにちは!台湾在住ライターのMaeです。

 

台北では間もなく、年に一度の大イベント「台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)」が開催!パレードに合わせての台北旅行をご予定の方もおられるかもしれませんね。

 

筆者も台湾生活を始めてから10年以上にわたり、台北はもちろん、台湾各地の様々なパレードに参加して来ました。振り返ってみると、社会での大きな動きとも相まって、鮮烈な記憶となったパレードもいくつか思い出されます。

 

今日は、パレードを歩く意味がより深く体感できる(かもしれない)、台湾での忘れられないLGBTプライドの記憶をシェアしたいと思います。

 

国民投票の結果を噛み締めながら。励ましのメッセージに溢れた「高雄同志大遊行2018」

 

 

 

2017年に「同性カップルに婚姻の権利を認めない現行の法制度は違憲状態」との判決が発表された台湾。

 

2年以内の法整備が求められ、このまま実現まで順調に進むかと思っていたところに発動されたのが、2018年の「国民投票」でした。

 

「愛家公投(家を愛するための国民投票)」と名付けられたこの動きは、同性カップルの結婚実現に反対する勢力から提案されたもの。

LGBT当事者たちも対抗策を打ったものの及ばず、反対勢力からの提案に多数の同意票が集まり、再び結婚の実現が危ぶまれる事態へと陥りました。

 

「高雄同志大遊行」が行われたのは、国民投票の厳しい結果を突きつけられた翌日。

700万という膨大な票数でもって自分たちの主張が否定された直後でありながらも、台湾の当事者たちは強かった。会場を満たし尽くす2万人もの人々が集い、高雄の街を歩きました。

 

 

 

 

 

「人権に賛同は必要ない。婚姻の平等は夢じゃない。」

 

「君こそ、世界で一番の贈り物だよ。」

 

「お疲れさま。つらかったね。あなたは私の誇りだよ。」

 

一見すると、例年と何ら変わらない賑やかなパレード。けれど、励ましのメッセージを書いたプラカードの密度の高さが、多くの人々が負ってしまった見えない傷を象徴しているかのようでした。

 

違憲判決によって定められたタイムリミットが半年後に迫る中、判決内容と相反するような結果が国民投票によって導き出されてしまった。

 

ここから本当に、同性カップルの結婚は実現されるのか?再び真っ黒な不安に襲われる中、「希望はまだある」と思い出させてくれた、忘れられないパレードでした。

 

同性カップルの結婚が実現!史上最高の20万人が参加した「台灣同志遊行2019」

 

 

 

 

アジア最大級の規模を誇る「台灣同志遊行」。中でも特に記憶に残っているのは、台湾で同性カップルの結婚が実現したばかりの2019年のパレード。

 

参加者は過去最高となる20万人を超え、この記録はその後5回の開催を経た現在も、未だ破られていません。

 

この年は、記念すべき一年にふさわしい新たな試みも。台北のパレードではこれまで、2つまたは3つのルートに分かれて歩かれていたのが、2019年は1ルートのみ。

20万人が一丸となって歩くことのインパクトは、想像を遥かに超えていました。

 

 

 

 

先頭に辿り着こうと小走りで隊列の中を追い上げても、一向にそれらしきフロートは見えない。

 

それならと沿道に上がって、定点で最後尾まで眺めてみようと試みるも、1時間以上経っても延々と途切れる気配がない。例年であれば、先頭から最後尾まで全て見られていたはずなのに、それが叶わなかったのは、後にも先にもこのパレードだけ。

 

パレードの公式SNSページで隊列の並びを調べてみると、1時間以上も眺めていたのが前方のほんのひと区画だけだったと判明して、パレード後に改めて衝撃を受けたのもよく覚えています。

 

お祝いムード一色の中でも、翌年2020年に控えた台湾総統と(日本で言う国会議員に当たる)立法委員を決める選挙がしっかり見据えられていたのも印象的。

 

「同性カップルの結婚が実現する前の状態に戻す」との発言をする候補者も現れるなど、紙一重のところに逆行の可能性が存在している現実には、お祭り騒ぎの最中にあっても身が引き締まる想いでした。

 

世界的パンデミックの最中で初パレード。防疫成功の象徴のような「桃園彩虹野餐日2020」

 

 

 

同性カップルの結婚が実現し、いよいよ新たな社会の到来。そんな期待が膨らんでいた矢先に起こったのが、コロナウイルスによる世界的なパンデミックでした。

 

国境は封鎖され、県境を跨いだ移動すら自由にできなくなった。感染に歯止めがかからず、多くの人々が病に倒れている。そんな世界の中で「防疫の成功例」として、台湾が注目を集めるようになりました。

 

帰国後二週間の隔離が徹底された水際対策。台湾の健康保険証に紐付けられたマスク配布システム。感染者との接触の有無を教えてくれるアプリ。店頭のQRコードをスキャンすることで、一人一人の行動の足跡を記録しておく制度。政府が次々と迅速に打ち出した政策が功を奏し、台湾では感染者ゼロを記録する日々が続いていました。

 

そんな2020年に、「桃園彩虹野餐日」の初の試みとして歩かれたパレードは、不思議な感覚が湧いて来る体験でした。

多数の人が密集するイベントが軒並み中止に追い込まれる世界にあって、台湾では例年通り、パレードが開催されていました。

 

 

 

 

 

歩き終えた後のゴール地点では、参加者に加えて多くの市民が、芝生広場にテントやレジャーシートを広げて、レインボーなピクニックをのどかに楽しんでいる。

 

デジタルやリモートではない、コミュニティの垣根を超えたリアルな繋がりが、あちこちで自然発生的に生まれている。目の前に広がっている牧歌的な光景はどこか、現実離れしたパラレルワールドで生きているかのように感じられました。

 

一時帰国も叶わず、日本に住む家族と会える日は一体いつになるのか。

先行きの全く見えない大混乱の中にあっても、台湾で平穏に暮らせていることの幸せやありがたみが湧いて来たあの瞬間は、今でもよく思い出されます。

 

***

 

 

 

2014年から2024年。筆者Maeが台湾各地のパレードを記録した書籍『台湾でパレードを:台湾各地のLGBTプライドを歩いた10年間の旅日記』が、AmazonのKindleストアにて発売中です。

 

上記パレードのより詳細な記録はもちろんのこと、台中、台南、花蓮、宜蘭、台東などのパレードも取り上げた上下巻(全22章)構成となっています。

 

台湾はどんな困難を乗り越えて、同性カップルの結婚実現へと至ったのか?実現後には、どんな課題が残されていたのか?社会の変遷ともリンクさせながら、パレードを通して見た台湾激動の10年を200枚以上の写真と共に綴っています。

 

Kindle Unlimitedにご加入の方は、無料でもお読みいただけますので、ぜひご覧ください。

 

→ Amazonで『台湾でパレードを:台湾各地のLGBTプライドを歩いた10年間の旅日記』をチェックする。

 

 

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