2019/12/15

【医師が解説】日本と世界の「PrEP」最新事情とは?

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PrEP「個人輸入」の注意点

個人輸入の注意点として、PrEPなど医薬品を個人輸入する場合は1ヶ月までと法律で定められている。

「送料もったいないし…3ヶ月分まとめ買いしちゃえ!」とポチっても、税関で没収されるので注意。

 

そしてPrEPをはじめる場合、必ず守ってほしいのは事前検査定期検査だ。

 

事前検査とは、PrEPを始める前に「HIVに感染していないか」「腎機能に問題ないか」の2つをチェックすること。

HIVに感染した状態でPrEPをはじめてしまうと、不十分な治療によりHIVが薬に耐性ができる可能性がある(薬が効かなくなること。これを「薬剤耐性化」という)。

必ずHIV検査をし、陰性(感染していない)と分かってからPrEPをスタートすること。

 

そして、開始後は3ヶ月に1回のHIV定期的検査をしよう。

先ほど説明したように、万が一HIVに感染していた場合、体内でHIVが薬剤耐性化するのを防ぐためだ

 

もし自分の判断だけで行うのが不安な人は、PrEPを個人輸入した人をサポートしている、東京・上野の「パーソナルヘルスクリニック」に行くのも一つの手だ。

 

同クリニックの塩尻院長は、SH外来出身の医師で、HIVや性病予防のスペシャリスト。

PrEPスタート時に、診察+各種検査(HIV、梅毒、B型肝炎、腎機能)のセットで6000円(税別)と格安で提供。

 

院長、スタッフともにゲイフレンドリーなクリニックで、親身になってPrEPや性病の相談に乗ってくれる。

 

個人輸入でPrEPをする場合の手順。まとめ

医師らの話をまとめて、もしPrEPを個人輸入でする場合は以下だ。

 

1. 安全なサイトから個人輸入する(※購入は必ず1ヶ月分)

 

2. PrEPをはじめる前に、HIV感染していないか&腎機能が正常かを必ず検査すること

 

3. PrEPは毎日飲む「デイリー」と、行為の前後に飲む「オンデマンド」がある。自分のセックス頻度に合わせてどちらかを選択しよう

 

4. PrEPをしている最中は、3ヶ月に1回はHIV検査を行うこと(他の性病も調べるとなお良し)

 

■注意点

・「デイリー」を止める場合、念のため最後のセックスから7日間は飲み続ける。

・「オンデマンド」をしていて数日間連続でセックスする場合は、最後のセックスから2日間は飲み続けること。

 

もし不安な人は、上野の「パーソナルヘルスクリニック」や、日時が限られているが、新宿の「SH外来」の2箇所であれば、事前検査やアドバイスも行なっている。

 

コンドーム信仰の強い日本。PrEPは一つの”手段”である

長年HIV/エイズ研究を率いてきたACC(エイズ治療・研究開発センター)でセンター長を務める岡 慎一医師からは、「長年セーファーセックスを啓発してきたが、それだけでは限界がある。PrEPは一つの手段として日本も認可するべきでは」と話した。

 

そして質問タイムでは、会場から「PrEP導入することでゲイたちがコンドームを使わなくなるのでは?」といった指摘も。

これに対して岡医師はこう回答した。

 

「日本はコンドーム信仰がとても強く、何にでもコンドーム。男女間でも”避妊にはコンドームしかない”の一点張り。一方で、望まぬ妊娠は年間16万件もあります」

 

「コンドームは相手任せの予防法ですが、避妊にはピルという手段がある。自分の意思で予防できるという意味では、ピルとPrEPはまったく同じですよね。予防方法のオプションの一つです」

 

 

ACCのセンター長・岡医師

 

例えで出てきたピルだが、望まぬ妊娠を防ぐ有効な予防薬にも関わらず、男女間で使用は広まっていない。

日本のピル服用率は4%前後と、欧州の平均20%〜40%と比べて非常に低いのだ。

 

これはコンドームを使わずに予防薬を使うことが、ある種のタブー視されているからに他ならない。

 

ゲイコミュニティも同じで、PrEPは立派なセーファーセックスの一つであるにも関わらず、コンドーム以外は「不自然」また「良くない物」だとみなす風潮が少なからずある。

 

岡医師は続けて、「コンドームを否定するわけではないですが、コンドームだけ(の啓発)では不十分だと思っています。PrEPは有効な選択肢の一つでしょう」と説明した。

 

海外で多くの事例をみてきた谷口医師もこのように語る。

「我々は医療従事者という立場上『コンドームを使わなくてもいい』とは言えないですが、今までHIV予防といえばコンドームしかなかった。それが今では個人の選択の自由としてPrEPを選ぶことができます」

 

セーファーセックスは選べる時代に

HIV/エイズ危機が起こった80年代から30年以上に渡り、HIVを防ぐ唯一の手段はコンドームだった。

そのため人々の意識に『セーファーセックス=コンドームだけ』と思いがちだが、現在では医療の発展でセーファーセックスの手段も広がっている。例えば以下。

 

1. コンドーム

HIV予防効果は72〜91%。他の性病も防げる万能型。

 

2. PrEP

HIV予防効果は99%(デイリーの場合)。ただし他の性病にかかる可能性あり。

 

3. ワクチン接種

ワクチン接種することで防げる性病もある(A型肝炎、B型肝炎、HPVなど)。性病にかかるとHIV感染の可能性が数倍に高まるので、事前に防げる性病はワクチンを打つのも一つの手。

 

4. U=U

HIV陽性者で正しい治療をしていれば(ウイルスが検出限界以下の状態)、たとえ生でセックスしても相手に移す確率はゼロ。これを「U=U」という。詳しくはこちら

 

上記のように、セーファーセックスは”選べる”時代になっている。

 

***

 

日本でPrEPの認可に向けて、国と交渉を進めている岡医師は、「国は少しづつではありますが認可に向けて動いてはきている。その中で、PrEPを必要とする人たちが声をあげることが大事です。ぜひ(ゲイコミュニティ含め)いろんなところから声をあげて欲しいですね」と締めくくった。

 

将来的に日本で認可されれば、安心できる病院やクリニックでPrEPが受けれたり、日本のオンラインサイトから安価なジェネリック品が買えたりと、さまざまなメリットが期待できる。

 

もしあなたがPrEPを望むのであれば、周りの友達と話題にしたり、SNSで声を上げてみてはどうだろうか。

 

*12/17 記事内の一部を訂正しました。

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