日本でも耳にすることが増えた「PrEP(プレップ)」。
PrEP(プレップ)とは新しいHIV予防法のことで、実際には「ツルバダ」という薬を飲むことで、HIVを事前に防ぐことができる。
アメリカ、オーストラリア、カナダ、イギリスなど、ゲイたちの間で日常的につかわれているが、日本では認可されていないため、使っている人の情報も少ない。
そこで、日本人でPrEPを使用しているゲイ男性に話を聞くことができた。もし、PrEPについて興味がある人は必見だ。
PrEP(プレップ)とは?
HIV予防法のことで、ツルバダという薬を毎日1錠飲むことでHIVを約90~100%防ぐことができる。アメリカ、カナダ等では保険適用で買うことができるが、日本では認可されていない。
詳しくはこちらの記事にて。
今回、都内に住む30代半ばのゲイ男性タダシさん(仮名)に話を聞いた。
タダシさんは半年前からPrEPを使っているそう。使い始めたキッカケとは?
タダシさん:キッカケは2つあります。1つ目は、僕ウケなんですけど、昔からゴムがすれてお尻が切れることが悩みで。。。2つ目は、正直にいうと生でやりたいからですね。
編集部:単刀直入ですね…!
ゲイ向けメディアとしてはセーファーセックスを推奨したいところなのですが・・・前から生でやってたんですか?
タダシさん:いえ、前は絶対セーフ派でした!
だってHIVは怖いし、見ず知らずの人に移されるなんて最悪だし。でも、ゴムでケツ切れることが続いてて、たまに生でやると全然切れないんですよ。「その時に、生だったらいいのに…」ってよく思ってました。
ハッテン場も行くんですけど、基本はゴムつけますが、たまにその場のノリで生でやっちゃった時なんかは本当に凹みますね。。その瞬間は快楽に負けるけど、次の日になると一気に罪悪感と恐怖がおそってくる感じです。
編集部:なるほど。普段はセーフだけどたまに生でやることもあったってことですね。何でPrEPを知ったんですか?
タダシさん:最初はジェンクシーの記事で知ったと思います。
PrEPのドキュメンタリー映像見て、「これ最高じゃん!!自分が求めていたのはこれだ!」って思って、さっそく買おう(個人輸入)と思いネットでいろいろ調べました。
ただ、日本のサイトだとなんか怖いかなと。だって、偽物の薬の可能性もあるし、それで飲み続けてたら最悪ですよね。
いろいろ信頼できるショップを調べてて、いまはイギリスにあるジェネリックのPrEPを扱う有名なオンラインショップから買っています。
編集部:イギリスから個人輸入しているんですね。ちなみに、費用はどのくらいかかりますか?
タダシさん:商品によりますが、費用は3000円~4000円(1箱30日分|送料も含めて)ぐらいですかね。
日本で正規の値段で買うと10万以上するんですけど、そんな高額だとだれもやらないですよね(笑)
個人輸入だと1回に1箱しか注文できないし、届くまでに10日間ぐらいかかるんですけど、薬だし信頼できるところから買いたいですから。
編集部:PrEPをはじめる前にちゃんと検査はしたんですか?
タダシさん:もちろんです!
PrEPをはじめる前は海外サイトも含めてかなり調べましたね。本当に安全なのか?はじめる前に必要な手順とは?みたいなことも全てです。
まずHIVとB型肝炎にかかってないことが条件なので、病院で検査してきました。
ただ、ちょっとだけ不安だったのでお医者さんにPrEPについて質問してみたら「…なんですかそれ?」って感じの反応でしたね。町医者だったこともあり、医者も看護師もPrEPについて知らない人が多いんだなと。
編集部:その反応はかなり怖いですよね。
タダシさん:医者からは「そういうことは町医者にはわからない。性感染症の専門クリニックや大学病院で聞いてくれ」って、つっぱねられましたから(笑)
まぁ、そもそもPrEPって日本で認可されていないから、薬を飲むのも自己責任なのはわかっていたので。
編集部:PrEPをスタートしたあと、副作用などはありました?
タダシさん:いえ、全くなかったですね!
海外サイトでPrEPのレビューを見ても、ほとんどの人が副作用もなにもなく普通に過ごせてるみたいですし。
PrEPは毎日薬を1錠飲むのですが、ふつうにサプリメント感覚で飲むだけなので。
僕は普段からプロテインや各種サプリをよく飲むので、おなじ要領で毎日飲んでますね。
編集部:副作用をはほとんどないみたいですね。PrEP開始後のセックスライフはどうですか?
タダシさん:PrEPをはじめてから最初の1ヶ月は、なんというか、無敵の気分でした(笑)
だって、いくら生でしてもHIVにならないし、最強のツールを手に入れた気分です。誰とでも好きな時にやれる開放感がありました。
あと僕はウケなので、ゴムを付けるタチにたよらない自分の意思でHIVを予防できるのが魅力です。
編集部:たしかに、ゴムを付けてくれないタチもいますからね。自分で防御できるのは大きなメリットですね。
逆に、デメリットをあげるなら?
タダシさん:日本でPrEPの認知度が低いせいか、PrEPしてるだけで「生好きの変態ヤリマン」と思われることですね。
僕的には、正しいHIVの知識をもって、しかもお金をかけてPrEPというセーフの手段を取っているのに、それを生好きの変態と思われることは心外ですね。
PrEPについて書かれた海外記事をよむと、専門家はコンドーム単体よりもPrEPを飲んだ方がHIVの予防効果が高いといっているくらいですから。
ただ、PrEPで防げるのはHIVだけなので、ほかの性感染症にかかるリスクはありますよね。
PrEPをしている最中は3ヶ月に1回の定期検査は必須なので、HIV、肝炎、梅毒を調べています。
とくに肝炎がこわいので、近々A型・B型のワクチンを打つ予定です。
編集部:なるほど。それ以外でPrEPをはじめて何か気づいたことはありますか?
タダシさん:PrEPをはじめてから、「よし生でやるぞー!!」って思ってたんですけど、いまは生とゴムは半々ぐらいです。いくらPrEPをしてると言っても、セーフ派の人は絶対ゴムしますからね。そこは相手の意見を尊重しなきゃなとは思っています。
あと、セックス相手にPrEPをしていることを伝えると、「え、なにそれ??」って興味津々な人もいて、そこから会話が広がって、セーファーセックスのことやHIVのことなども話す機会が増えましたね。
ふだんHIVやセーファーセックスについて語ることなんてないじゃないですか?PrEPがそのキッカケになっているような気がします。
編集部:PrEP開始から半年たって、今後も継続しようと思いますか?
タダシさん:はい、当分は続けていきますね。
ただ、ずっと続けるかはわからないです。性欲にも波があると思うし、僕自身この1・2年は性欲が高まっているだけで、あと数年経って落ちつく可能性もありますし。
あとは長く付き合うパートナーができたらPrEPはやめると思います。
編集部:日本でもPrEPについて興味を持っている人多いと思います。
もしPrEPを勧めるのであれば、どういう人に勧めたいですか?
タダシさん:必ずゴムをする人はPrEPをする必要はないと思います。勧めるなら生でやる人たちですね。
だって、これだけ行政やメディアが「HIV予防にはゴムつけましょう」って何十年も言っているのに、毎年数千人もHIVにかかる人がいるじゃないですか?
最近は若い子の間でも増えてるって聞きますし、HIVになっていることを知らないでエイズになる人もいるし。
PrEPをはじめて思ったんですけど、リアルでもハッテン場でも生でやる人が本当に多いんだなぁって。
こっちが言わないとゴムつけることをしない人なんて本当に多いですから。
だからこそ「必ずゴムするか」「PrEPするか」、どっちかにしてほしい!
何もしないで生でやる人が減ってほしいと思います。
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匿名とはいえ、赤裸々に語ってくれたタダシさん。
PrEPに興味がある人はかなり参考になったのではないだろうか?
ちなみに、日本では年間約1500人が新たにHIV/エイズに感染しており、特に20代前半の若年層と50代以上のシニア層の感染が増えている。
これまでコンドームが唯一のHIV防御手段だったが、新たな手段としてPrEPは有効だ。
もしリスクの高いセックスをしている人は、いま一度自身のセックスライフを見直してみてほしい。
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