世界にはLGBTをテーマにした作品(映画、書籍、アート作品など)が、毎年多く発表されているが、日本へ輸入される機会は少ない。
最近は、映画『ムーンライト』をはじめとするLGBT映画が人気を得ていることから、これまで目もくれなかった大手配給会社が続々とLGBT映画の買い付けを行っている。とても良い流れだ。
しかし「書籍」というジャンルにおいては、まだまだ海外の優れたLGBTテーマの作品が輸入されることは少ない。
そこで、海外の優れたLGBT書籍を日本で翻訳出版するというプロジェクト『プライド叢書(そうしょ)』が、ゲイライターの宇田川しい氏によってスタートした。
プロジェクト第一回目として、スペインのゲイ小説『ぼくを燃やす炎(仮題)』の日本出版を目指す、クラウドファンディングがスタートしている。
小説『ぼくを燃やす炎(仮題)』は、ゲイの高校生オスカルを主人公にしたスペインのヤングアダルト作品。
男の子を好きになるというだけで、オスカルは学校でも家庭でも自分の居場所が見つけられていない。そして親友への告白をキッカケに過酷ないじめを受けるようになってしまう。追い詰められたオスカルは自傷行為をくり返すようになり───といったストーリーは、2015年の一橋大学のゲイ少年が自死した悲しい事件を思い起こさせる。
現在のLGBTブームでは語りきることのできない、一人の少年がアイデンティティに煩悶する姿や、複雑な家庭環境からの自立、変わらない愛を描くことで、LGBTやストレート問わず、多くの人の心を揺さぶる感動作だ。
また、キュートな挿絵や、LINEのタイムライン風のやりとり(下の画像参照)など、とても読みやすい本となっている。
本作は、著者マイク・ライトウッド氏の実体験+フィクションで構成されており、彼は日本のアニメ「セーラームーン」「カードキャプターさくら」などに多大な影響を受けたそうだ。
「『セーラームーン』に登場するウラヌスとネプチューンの同性カップルを見て、LGBTと異性愛者も同じだと思ったし、『カードキャプターさくら』では、さくらが(人間ではないとわかった友人に)「雪兎くんは雪兎くんだよ!」と叫ぶシーンを見て、自分も男の子が好きでいいのかなと思えたんです」
と、インタビューで語っている。
本作は、販売を兼ねたクラウドファンディング制となっており、プロジェクトが成功しないと日本での出版は無くなってしまう。
もし、「作品を読みたい」と思った人は、クラウドファンディングで支援(作品の購入)をしてみてはどうだろうか?
クラウドファンディングはこちらから。(期間は8月21日まで)