1回の治療で、最大30週間(約7ヶ月以上)もの間、HIVを抑えられるという最新研究が発表された。AFP通信はじめ、複数の海外メディアが報じている。
これまでのHIV治療といえば、「抗レトロウイルス薬」を毎日服用することが一般的だった。これは複数の薬を組み合わせて毎日服用する必要があったが、今回の新研究では、1回の治療で最大30週間(約7ヶ月以上)効果が持続するというもの。
米ロックフェラー大学などの米国の研究チームは、「抗レトロウイルス薬」でHIVを治療していたボランティア被験者15人に実験を行った。
実験中、被験者はこれまでの「抗レトロウイルス薬」を中断し、HIVの影響を弱めることが知られているタンパク質2種の抗体を点滴を投与し経過をみた。
被験者にはさらに、3週間後と6週間後に点滴を投与した。その結果、被験者はHIV濃度が「安全な」レベルに抑えられた状態を平均15週間維持したことが分かった。中でも2人の被験者はその期間が30週にも及んだという。
同研究を行なったロックフェラー大のミシェル・ヌセンツワイグ教授は、「過去の研究では作用がはるかに弱い抗体を用いてこれを試みたが、うまくいかなかった。研究の目的は、今よりさらに長持ちするように抗体を改良することだ。そうすれば、患者は毎日服薬する代わりに、年に数回の治療を受ければ済む」と話している。
HIV治療として世界で最も行われている「抗レトロウイルス療法」では、薬を毎日決められたとおりに服用しなければHIVを抑制できず、他の人へHIVを感染させるリスクがある。また、この療法では副作用が伴うことも多かった。
そんな毎日服用の薬から、年数回の点滴のみの治療になれば、HIV陽性者の負担を大幅に減らすことができる。まさに画期的なHIV治療法だ!
同研究はまだ試験段階であるため、研究チームによればさらに試験を重ねる必要があるとのべている。早く実用化されることを期待したい。
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