HIVを予防できる「PrEP(プレップ)」が欧米を中心に世界中で広がっている。
そこでPrEPに関する実態を、欧州で人気のゲイアプリ「Romeo」がユーザーに調査した。
ロメオのユーザーを対象にしたアンケート調査では、ゲイ、バイ、トランス男性合計69,551人が回答。この数字は今までにない大規模なものだ。
日本では認可されていないPrEP。
海外ネットショップから個人輸入しているゲイも多いが、まだまだ日本では一般的ではないだろう。
一方、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスといった欧米諸国や、最近は台湾、タイ、インドなどアジア圏のゲイたちにもPrEPは浸透してきている。
「PrEPを使っていますか?」と聞いたロメオ調査では、全体の16%(10,963人)がPrEPを使っていると答えた。
国別で見てみると、イギリスが最も使用率が高く、次いでオランダ、ベルギー、フランスと続く。
PrEPを使う人の半数以上は、日常的に使用していると回答している。
また、PrEPをしていない人に、「PrEPをしていない理由」を聞いたところ、最も多かったのが「PrEPについてしっかり分かっていない」が最も多く、続いて「コンドームの方がいい」「自分のセックスでは常にセーフだから」の回答が多かった。
調査結果では、調査に回答した人のコメントも合わせて紹介されている。
それによると、PrEPを飲んでいる人は「ヤリマン」に思われることが多いそう。PrEPを飲んでいることで、ナマでやる人が多いからだと思われる。
これは今回だけじゃなく、PrEPに関する調査では頻繁にでてくるものだ。
PrEPを日常的に服用していれば、たとえナマでセックスした場合でも90~100%近い予防効果が科学的に立証されている。
PrEPを飲むことは、コンドームをつけることと同じ「セーファーセックス」の一つ。
これまで、HIV/エイズの予防にはコンドームしかなかったものが、PrEPの登場によって、自ら予防法を選べる時代になっている。
しかしながら、PrEPをしていない人からすると、「PrEPを飲む人=ヤリマン、危険な行為をするヘンタイ」という偏見が生まれやすい。
ちなみに「PrEP使用者がヤリマンなのか?」についてだが、調査によれば、PrEP使用者と非使用者では、年間のセックス人数に差はなかったそうだ。
PrEPは今までにない素晴らしい予防法だが、完璧ではない。
世の中には、HIV以外にも多くの性感染症がある。
最近大流行している梅毒から、A型肝炎、B型肝炎、淋菌、クラミジア、ヘルペス、コンジローマなどなど。
PrEPでHIVはほぼ防げるが、その他の性感染症は一切防げない。
ということは、PrEPを服用していても、なるべくコンドームを付けた方が良い。
ロメオの調査によると、PrEP使用者の91%が「コンドームを併用してもいい」と回答している。
PrEPを使用していない人は必ずコンドームを付けてセーファーセックスしているのだろうか?
実際は異なるようだ。
PrEPを使用していない人々の55%は危険なセックス(ナマでの行為)をしていたことが分かった。
そして、現在PrEPを使用している人の7割は、PrEP使用前には危険なセックスをしていたそうだ。
このことからロメオの調査担当者は、「危険なセックスをしている人にとって、PrEPを飲むことは有効な手段かもしれない」と結論付けている。
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PrEPは2012年から認可された新しいHIV予防法だ。
約30年近くHIV/エイズの恐怖にさらされてきたゲイコミュニティだが、PrEPの登場でHIVの新規感染率が減少傾向にある。
現に、PrEP使用率が最も高いイギリスでは、5年前の感染者割合が80%から50%へと大幅に減少したことが最新の調査で明らかになっている。
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