イスラエルのテルアビブに住んでいました、ライターのがぅちゃんです。
「地中海のゲイタウン」とも言われるイスラエルのテルアビブ。しかし時に、テロリストが放つロケット弾が飛んでくることもあります。それでも止まらない現地のゲイライフ……。
ゲイタウン「テルアビブ」を代表する、熊系ゲイイベントを複数紹介します。
イスラエルは中東地域にあり、地中海に面しています。国土は四国ほどの大きさで、人口は約860万人。国境を接しているのはイスラム教徒が大多数の国(シリア、レバノン、パレスチナ、ヨルダン、エジプト)ですが、イスラエルで最も信者が多い宗教はユダヤ教です。
イスラエルのスタンダードは欧米先進国をトレースしているようなところがあり、街の雰囲気もヨーロッパに近いものがあります。政府はあくまでもゲイフレンドリーなスタンスで、首相が英語でゲイコミュニティを擁護する声明を発表したりすることもあります。
詳細:イスラエル在住ライターが教える、ゲイフレンドリーな都市「テルアビブ」ってどんなところ?>>
そんな「イスラエル=ゲイフレンドリー」というイメージを体現したようなイベントが、地中海沿いの都市「テルアビブ/Tel Aviv」で開催される「テルアビブ・ゲイプライド/Tel Aviv Gay Pride」 。
ゲイプライドの参加者は毎年約25万人と、台湾・東京を超える規模(アジア大陸最大)。開催地のテルアビブは人権意識も高く、かなりリベラル。ゲイフレンドリーな都市であり、ここで開催されるゲイイベント=イスラエルNO1=中東NO1のような状態となります。
詳細:アジア最大のゲイパレード!イスラエルの「テルアビブ・ゲイプライド」を解説 >>
テルアビブのゲイイベントは米国と欧州のトレンドに追従していて、特にドイツのベルリンを強く意識している様子(ベルリンまで直行便で約5時間=最寄りの欧州の都会)。国内には、ベルリンと名がつく飲食店やゲイイベントがいくつか存在します。
イスラエルのハッテンに関する記事:中東最強のゲイタウン!イスラエル・テルアビブのハッテン場ガイド >>
話が脱線しちゃいますが、テルアビブは世界遺産に指定された都市で、「白い都市/White City」とも呼ばれています。そしてベルリンにも、同じ名前の世界遺産が存在します。ドイツ語で「Weiße Stadt」と綴り、テルアビブのものと同時代の建築物です。
そんなベルリンっぽい(?)テルアビブで盛り上がっている熊系ゲイイベントは、代表的なものが二つあります。「Bearta」と「Unibear」のふたつ。それぞれ紹介していきましょう。
熊系ゲイコミュニティに特化したゲイプライド「ベアプライド/Bear Pride」という概念が、世界各国に存在します(ベアウィークともいう)。テルアビブでそれに相当するのが「BEAR TA」。イスラエル最大のベアウィークとも言えます。
ベアウィークで世界的に有名なのは、アメリカの「ベアウィーク・プロビンスタウン/P-town Bear Week(詳細)」やスペインの「シッチェス・ベアウィーク/Sitges Bears Week」。テルアビブのBEAR TAも、それに追従する世界のベアウィークの一つといった感じ。
イスラエルナンバーワンのゲイベアーを決める「ミスターベア/Mr Bear Israel」を決めるコンテストもBEAR TAに含まれています。
BEAR TAは秋(9〜11月)の週末に開催され、 2〜3日にわたって、連続して様々なイベントが開催されます。
余談:ドラァグクイーン「Ziona Patriot」の名前のつよさ
「Zion=シオン」は、イスラエル建国の思想「シオニズム/Zionism」の語源。「ユダヤ人はエルサレムに帰還すべき」という、つよい考え方です。「Patriot」は「愛国者」。これらの語感を総合して強引に日本語に変換すると「靖・国子」みたいな響きがあります。
政治をレペゼンできないと売れないというか、ふつうに生きててもふたこと目には己のアイデンティティを詰めて問われかねないイスラエルならではな、地政学的なネーミング。ユダヤネタは欧米で広く通じるので、英語でのリーチも強力。
これはつまり、「靖・国子」が日本人にとって「うぉ・つよい」となる現象が、国外でも通用するような状態。身内ネタを外国(主に欧米)で完全に共有できるというのは、ユダヤ教/人ならでは。イスラエルの社会がそうであるように、ゲイ娯楽も互換性は高いです。
「ユニベアー/Unibear」は、テルアビブで不定期で開催される熊系ゲイイベントの名称です。 「BEAR TA」のイベントの一つとして開催されることもあれば、それとは別の独立したイベントとして開催されることがあります。会場は固定ではありません。
イスラエルの熊系ゲイコミュニティの中での知名度は高いですが、ステータスは確立されつつあるといった状態。例えば、国内で最も有名なゲイイベント「ビーフ/Beef」が会場ごと(=Duplex Club)記憶されているのと比べ、ユニベアーはそうはなっていません。
ユニベアの開催地/開催日は急に決まることが多いです。水曜日とかのド平日に開催されることがありますが、遅い時間はある程度混みます。
イスラエルのべアプライド(BEAR TA)は2017年に第一回が開催されたばかりで、芽生えつつあるムーブメントといった様子。ほかにも、乱立とまではいかなくとも、「ゲイビーチ飲み」などの細々とした多様な熊系ゲイイベントが現れては消えていくといった状態。
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ある熊系ゲイイベントでは、開催直前に空襲警報が鳴ったことがありました(テロ組織がパレスチナから放ったロケット弾がテルアビブに飛来した)。しかしゲイパーティは「地下なので問題ない=防空壕に移動しなくてよい」ということで続行されました。
私はテロに慣れていないのでパーティを諦めたのですが、地元のゲイたちは「山に熊がいた」くらいの反応だったのが印象的でした。(地下の店で空襲警報が聞こえた際、あえてそこで飲み続けるという「ご当地ビビってないアピール」みたいなノリが存在するらしい)
たくましく成長しているイスラエルの熊系ゲイシーン、これらかも盛り上がっていくことが予想されます。